両親の身長が低いと生まれてくる子どもの背も低い?
遺伝の影響は8割以上という説も
子どもの頃、自分より背の高いクラスメイトを見てうらやましく思ったり、体の大きなスポーツ選手に憧れたりといった経験のある人は多いと思います。自分もいつかそうなりたいと毎日欠かさず牛乳を飲んでいた、なんて人もいるかもしれません。しかし、残念なことにそうした努力や想いだけで身長が伸びたり縮んだりすることはありません。身長がどこまで伸びるかはそのベースとなる骨格と密接な関係にあり、両親からの遺伝の影響を強く受けるのです。
双子のきょうだいを比較した研究によると、将来的な身長や体重への遺伝率は80%前後。遺伝の影響は極めて大きく、環境や努力によって容易に変化させられる形質ではないということがわかってきています。しかし、あくまでも「遺伝の影響を強く受ける」という話であって、栄養価の高い食事や規則的な睡眠、運動習慣なども重要な要素であることに間違いありません。
両親の身長から子どもの将来的な身長を予測する計算式も存在します。これは日本スポーツ協会(旧日本体育協会)が発表している公式で、詳細は後述のとおり。ひとつの目安として試してみてはいかがでしょうか。なお、両親の身長差が大きい、祖父母に高身長の人がいるといった場合、予測の振れ幅が大きくなる可能性があるということも覚えておきましょう。
身長は遺伝の影響が大きい要素のひとつ
・身長は両親の遺伝影響が 極めて大きく8割以上ともいわれる(諸説あり)
・隔世遺伝で祖父母の影響を受けることもある
・睡眠や栄養状態といった生活環境が成長に影響を与えることも
将来の子どもの身長を予測する計算式もある
以下の計算式に両親の身長を当てはめることで、成長した子どもの身長(目標身長)をある程度予測することができます。ただし、この計算結果はあくまで平均値であり、これより高くなることも低くなることもあります。
例
父(175cm)と母(160cm)の場合
男の子 ▶(175+16 0+13)÷2+2= 176 cm
女の子 ▶(175+16 0-13)÷2+2= 16 3 cm
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修:安藤寿康
≪累計300万部突破!『眠れなくなるほど面白い図解シリーズ』≫
環境や努力は遺伝に勝てない!?行動遺伝学者が語る“遺伝のタブー”を図解でわかりやすく解説!【遺伝の話】
「生まれ持った才能」「容姿の格差」「親ガチャ」…誰しもなんとなく気が付いて受け入れているものの、表立ってその違いを口にすることはタブーとされがちな遺伝の話。
近年、インターネット上でもさまざま議論がなされ、「遺伝」に関する話題は注目を浴びています。
一般的に遺伝といえば、身長や体重、髪の毛や瞳の色といった身体的特徴が親から子に受け継がれることを指し、遺伝学とはこういった特徴が次世代にどのように引き継がれるかを研究する学問です。その中でも特に、遺伝と環境が人の成長にどう影響しているかを解明していく分野を「行動遺伝学」といいます。
本書では、行動遺伝学の第一人者である著者が遺伝にまつわるさまざまな気になるギモンをわかりやすく解説します。
「親から遺伝するもの、しないものって何?」「そもそも遺伝ってどういうしくみ?」という基本的な知識から、「収入と遺伝は関係がある?」「容姿の差による格差ってどれくらい?」「遺伝で決まっているから環境や努力ではどうにもならない?」「生まれで9割決まっているって本当?」など、漠然と言われているけど誰も正直に答えてくれないような話題まで、徹底解説!
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公開日:2024.11.08