不安障害は克服できる!
不安障害といっても、その症状はさまざまです。もちろん、対処法も症状によって変わります。一人で悩まず、早めに適切な治療を行いましょう。
早期に適切な治療を受けること
不安は誰にでも起こる感情で、普段の生活においても重要な役割を果たしています。しかし、不安には生きるうえで必要な「適切な不安」と、生活に支障をきたす「病的な不安」があり、自分でその区別をつけるのは簡単なことではありません。周囲に状況を話しても、「誰でもあること」「心配しすぎ」などと受け流されてしまうこともあるでしょう。病的な不安(不安障害)は、医師などの専門家による診断・治療を受けずに自然回復するケースは少なく、なかには不安を解消する目的でアルコールや過食といった不適切な「自己治療」に手を出してしまい、依存症や摂食障害になってしまうケースも多いのです。
仕事や家事が手につかない、外出の予定や約束のキャンセルで信用や友人をうしなった、理由もなく家族や周囲の人間に攻撃的になったなど、不安が日常の生活に影響を及ぼしはじめたと感じたら、すぐにでも専門の医療機関で受診しましょう。
自分にあった治療法を見つけよう
不安障害にはさまざまな症状があり、複数の症状が併発していることもあります。また治療が遅れると、うつ病や統合失調症といった他の精神疾患にかかるリスクも高まるため、まずは「早期発見」と「適切な治療」が克服のカギとなります。
医療の進歩によって、不安障害をはじめとした精神疾患の多くの治療効果は、昔と比べて格段に上がっています。ちなみに、現在は「薬物療法」と「精神療法」を併用して治療を進めるのが主流となっています。
不安障害は、ささいなできごとが病的な不安へ拡大するように、症状Aが症状Bにつながっていくという特徴があります。そのため、薬物による症状の早期抑制が必要となります。なかには、精神的な疾患に薬物を使用することに抵抗感がある人もいることでしょう。服用をやめられなくなるのではないか、人格が変わってしまうのではないかといった心配もあるかもしれませんが、医師が処方する薬はいずれも有効性と安全性が確かめられているので安心してください。特に近年の脳機能の研究スピードはめざましく、不安や恐怖といった「感情のメカニズム」に適切に働く薬が次々に開発されています。
はじめての受診の場合は、「精神科医」のいる病院、クリニックなどがよいでしょう。医療機関では「精神科」「精神神経科」「神経科」などと表記されています。「心療内科」もありますが、診察内容に制限があったり、内科医が開業していたりする場合もあるので、事前確認が必要です。治療は長期になる場合が多いので、交通の便や院内の雰囲気などにも気を配りましょう。
「薬物療法」と「精神療法」
CHECK!
- 不安障害は医師の診断と治療を受けずに回復するケースは少ない
- 不安が生活に影響を及ぼすようであれば、なるべく早く病院へ
【出典】『心の不調がみるみるよくなる本』ゆうきゆう:監修
【書誌情報】
『心の不調がみるみるよくなる本』
ゆうきゆう:監修
現代増加の一途をたどる「不安障害」。
不安障害とは払拭できないほどの不安や恐怖の感情が過剰に付きまとい、日常生活に支障をきたすような状態になることです。
一概に不安障害といってもさまざまな症状があり、突然理由もなく激しい不安に襲われて発作などを引き起こす「パニック障害」や、謎の強迫観念にとらわれて意味のない行為を繰り返す「強迫性障害」、若者に多く人前にでると異常に緊張して体調を崩す「社交不安障害」などタイプは異なります。
本書ではそのような不安から引き起こされる心の不調について、症状例をそえて専門医がわかりやすく解説。自分の「不安障害度」を簡単にチェックできる診断テストも掲載。病気を自覚し、その症状にあわせた治療を受けられるようサポートする一冊です。
公開日:2024.12.11