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症状と漢方処方 かゆみ【生薬と漢方薬の事典】

Text:田中耕一郎

かゆみ

かゆみには風邪が関係しています。この場合かぜではなく、皮膚の表面を風が走りかゆみを起こすというイメージです。急に起きてパッと過ぎ去るかゆみは風邪の特徴をよくあらわし、風邪が強いほどかゆみも強くなります。処方を考えるときには、かゆみの強さよりも、熱や湿があるかどうかをみることが重要です。幹部に熱や赤みがあるか、また、炎症の程度などがポイントになります。

体質からみる血虚によるかゆみ

冬季によく起こる肌の乾燥からくるかゆみ

処方:当帰飲子

血を補う処方を

慢性的な皮膚のトラブルなどからくる血の不足により、皮膚にうるおいがなくなり乾燥肌になると、そこに風が生じ、かゆみが起こります。冬季にあらわれやすく、老人性乾皮症、乾燥型のアトピー性皮膚炎などがこのタイプのかゆみです。

血を補い巡らせ、皮膚の乾燥を改善する働きがある当帰飲子を用います。

病邪からみる風熱によるかゆみ

患部が赤くはれて熱をもつ

処方:消風散

湿疹にもよく使われる消風散を

じんましんなどにみられる、風邪に熱も加わって起こるかゆみです。皮膚が赤くはれ、熱をもってかゆくなります。部分的には乾燥しているところもみられるのが特徴です。

熱や湿をとり、血を補う働きもする消風散が用いられます。消風散は、かゆみをともなう皮膚の症状に広く利用される方剤です。寒さの刺激で起こる、あまり熱の強くない寒冷じんましんには十味敗毒湯を用います。

病邪からみる風熱と湿邪がからむかゆみ

風、熱、湿があわさり炎症が強くみられる

処方:荊芥連翹湯/清上防風湯

湿熱をとりながらかゆみもおさえて

風熱に加え湿熱により、患部の熱が強くなり、炎症症状が強くみられるかゆみが起こります。

熱をとり、解毒し、さらに、風邪を除いてかゆみをおさえる働きのある、荊芥連翹湯や清上防風湯が用いられます。荊芥連翹湯は体質改善を目的として長期にも使われますが、清上防風湯は炎症の強い症状に使われます。

養生・セルフケア

食べもの

血虚にならないためには、肉をしっかりとること。直接たくさん食べなくても、鍋にしてその汁を飲むようにすれば大丈夫です。

風熱タイプのかゆみの場合は、熱になる辛いもの、湿になる脂っこいものを避けましょう。

【出典】『生薬と漢方薬の事典』著:田中耕一郎

【書誌情報】
『生薬と漢方薬の辞典』
著:田中耕一郎/ 監修:奈良和彦・千葉浩輝

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