新幹線の導入にはどんな背景があった?【眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話】

世界最速を実現した「ひかり」

アジアで初となる東京オリンピックが開催された1964(昭和39年)、東京-大阪間を結ぶ「新幹線」が開通。新しく登場した新幹線は時速200㎞を超えるスピードを出すことに成功しました。「ひかり」というネーミングは、まさにその速さに由来しているというわけです。

国鉄が新幹線の投入を考えた背景には、当時、東海道線の輸送量が限界に達していたという事情がありました。大都市間を結ぶ交通機関として、鉄道は岐路に差しかかっていたのです。

新幹線の開発にあたっては既存の技術が集大成として詰め込まれました。新技術を用いずに故障の不安を軽減し、安定した運行を目指したのです。地下鉄で使われていた自動制御装置や小田急ロマンスカーで使われていた高速運転に対応できるブレーキもその一例です。また、レールを固定するために線路上に敷く枕木に関しても、従来は木製のものが主流でしたが、新幹線の高速走行に耐えるためにコンクリート製のものが採用されました。こちらも最初は1951年に東海道本線で導入されています。

風景が流れる高速走行下で運転士の負担を軽減するために、見通しのよい運転席にする工夫もされています。誕生から60年、新幹線はその後も速さと安全性を両立すべく、日々改良が続けられています。

流線型のフォルムは速く走るため

独特のフォルムを持つ新幹線の歴代車両。先端を細くした流線型と呼ばれるこの形状は、
速く走ることを追求した結果として選ばれたものです。

0系(1964年~)

8系(2024年~)

レールにも新幹線ならではの工夫が

  • コンクリート製の枕木の中には金属製の棒が入っており、ひび割れや折損を防いでいます
  • レールの継ぎ目を通るとき、ガタンという振動が伝わらないようにロングレールを採用。
  • ほかにも振動対策として、継ぎ目を斜めにカットした特殊なレールが使われています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』著:綿貫 渉

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』
著:綿貫 渉

『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』書影
【Amazonで購入する】

交通系YouTuber綿貫渉×『眠れなくなるほど面白い』シリーズ
累計300万部突破の大人気シリーズ最新作に「鉄道の話」が誕生!

通勤・通学、旅行・おでかけ…私たちは普段何気なく電車や駅を利用していますが、なぜ安全に時間通りに運行できるのか、遅延や事故・トラブルの際はどう対処しているのか、意外と知らないことも多い鉄道の話。
本書では、今さら聞けない基本的なしくみから、知るほど面白い鉄道の歴史まで、図解やイラスト付きでわかりやすく解説します。

さらに「電車が止まってしまったけど運転再開までどのくらいかかるのか……」「SNS動画で駅構内や車内のトラブルを見るけど、もし自分が居合わせたら…」このような日常で起こるかもしれないちょっとしたギモンや不安に関連した役立つ知識も紹介し、読んで面白いだけではない、日常に関わる内容となっています。

今まで知らなかった鉄道の世界を覗くことで、元々鉄道が好きな方はもちろん、そうでなかった方も、鉄道や交通に興味を持つきっかけとなる一冊です!

この記事のCategory

インフォテキストが入ります