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神前に捧げる「玉串」ってなんで玉も串もないのに『玉串』なの?

Text:渋谷申博

神話にルーツがある象徴的な奉納物

正式参拝*をしたことがある方はご存じだと思いますが、拝殿でちゃんと参拝する時には、玉串というものを神前に捧げます。しかし、玉串には玉も串もついていません。なぜ玉串と呼ぶのでしょうか。まず、玉串の形を確認しておきましょう。玉串は榊の枝に木綿(楮「こうぞ」の皮でつくった布、または麻の糸)や段々になるように切れ目を入れて折った白紙(紙垂といいます)がつけられたものをいいます。玉串の起源は、アマテラス(天照大御神)が天岩戸とに隠れ、この世がまっ暗になってしまった時に遡るとされます。困った神々は天岩戸の前で祭りを行ない、アマテラスを誘い出そうとしました。この時に榊の木に木綿糸などを吊るしたものが用いられたのですが、これが玉串の原形だというのです。

玉串と呼ぶのは、かつては玉がついていたからとも、手た向むけ串から転じたともいいます。神職が参拝者のお祓いをする時、似たようなものを手にしています。これは御幣、または大麻「おおぬさ」と呼ばれるものです。御幣は木または竹の棒(串)に紙垂をはさんだもの、大麻は六角や八角の棒に紙垂や麻糸をつけたものです。これらももとは捧げ物で、御幣は布を神前に供える時に串にはさんで置いたことに始まります。それが紙で代用され、お祓いに用いるようになったのです。 お供え物をすべて神前に置けるわけではありませんので、概要は神職に祝詞「のりと」で述べていただき、奉納者は玉串を納めることでそれらすべての象徴とするのです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷申博

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