認知症の入浴拒否はなぜ起こる?「情報のパズル」が完成しない世界と心の寄り添い方【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

認知症の人は入浴も着替えもしたがらない…日常生活の工程が複雑で情報のパズルが完成しない世界とは

思考や行動が総合的にまとまらない情報のパズルが完成しない世界

○エピソード

ここ2週間ほど、毎日母に「お風呂に入って」と勧めていますが、「毎日入っているからいい。あなたが入りなさい」と言われます。下着が臭いますが。着替えも嫌がります。入ってしまえば「いいお湯」と喜ぶのですが……。

【あるある行動】入浴も着替えもしたがらない

服を脱ぎ、お風呂に入り、上がって、服を着て、髪を乾かすという、入浴など日常生活の工程は意外と複雑で、すべてのピースが揃って初めて完成するパズルのようなものです。前項までのように認知症の人は、記憶保持困難、言葉の理解や工程の想像ができない、見当識障害などにより一部が抜けてしまうなどの、パズルを完成させるためのピースが足りない世界の中にいます。

思考や行動が総合的にまとまらない情報のパズルが完成しない世界【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

そのパズルが未完成のまま、周りに人にあの手この手で入浴を「お誘い」されると、「毎日お風呂に入っているのに」「今日は早朝あのに」「そんな気分じゃないのに」という気持ちになり、本人にとっては「納得」できない状態になります。それを「説得」し続ければ「疑念」が生まれ、もうパズルを組み立てるのも嫌になり、面倒になります。

しかし、関係性を壊したくないので、「もうやめた!うるさい!」とも言えず、「あなたが入ってきなさい」という「今お風呂に入れる権利を譲る」という言葉にしているのかもしれません。もしくは、入浴をしないことについて責められる状況から逃れたいという気持ちも少なくないでしょう。

そちらも着替えが面倒くさい人もいますし、失禁が他社にばれる恥ずかしさから、入浴を断固拒否する人もいます。

思考や行動が総合的にまとまらない情報のパズルが完成しない世界/もしあなたがこの世界にいたら?【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

○もしあなたがこの世界にいたら?

眠くてどうしもうもないときに、お母さんに「お風呂に入りなさい!」と言われて、「面倒くさい!」「今は入る気分じゃない」と思ったことはないでしょうか?

【出典】『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

求人情報

【書誌情報】
『認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方』
著:山川淳司 椎名淳一 加藤史子

認知症は、理解しにくい言動を引き起こす脳の病気です。家族が「どう言葉をかけたらいいんだろう」「どう接したらいいのかな」「とてもつらい」と感じることが多いでしょう。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」では、介護現場の専門家が日々の接し方や対応のヒントを提供し、プロの視点と方法で、家庭での介護が少しでもラクになるように、ご本人とともにかけがえのない日々を過ごしてほしいという願いが込められています。「認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方」を活用して、実践してほしいと思います。今後のためにも読んでおきたいおすすめの一冊です。

この記事のCategory

オススメ記事

認知症のある人が見ている『世界』とは?行動の理由を理解するための視点と接し方のコツ【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

認知症の人が何度も同じことを聞くのはなぜ?『今』が消えてしまう不安な世界と脳の仕組み【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

認知症で真夏にセーターを着るのはなぜ?暑さがわからない「感覚のぼやけ」と対応のコツ【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

認知症で昼夜逆転するのはなぜ?時間感覚がズレる生理的な原因と『夜に出勤』したがる心理【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

認知症の人が覚えられない理由|注意力のフィルターが粗くなる『記憶のシステムエラー』とは【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

認知症で「私が誰かわかる?」は禁句!家族の顔を忘れる理由と鏡の自分に怒る心理メカニズム【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

認知症で「あれ・これ」が増えたら要注意!言葉が通じない原因と具体的なコミュニケーションのコツ【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

認知症で道に迷うのはなぜ?空間認知の障害と「トイレがわからない」理由を読み解く【認知症の人に寄り添う・伝わる言葉かけ&接し方】

求人情報

インフォテキストが入ります