昼休み30分で午後が変わる!疲れた心を癒す『選択性ランチ』のススメ【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

毎日のルーティンにしたい「安心習慣」

会社や学校に通う平日と自由に使える休日、それぞれの1日の流れに沿って、シチュエーションごとにおすすめのワークを紹介。

毎日のルーティンに、まずはどれかひとつ、気になるワークを取り入れてみてください。

コツコツ続けているうちに、「今日はいつもより落ち着いているな」「今日はイライラすることが少ないな」と感じられるようになるはずです。

誰でも簡単にできるワークを「安心習慣」にすることで、不安やイライラを軽減し、「不安になっても大丈夫」なあなたを手に入れましょう。


安心習慣をつくる簡単ワーク【平日・休日それぞれの1日】

昼休みにほっと一息

ランチタイムのすごし方は人それぞれ。お気に入りのお店へ足をのばしたり、同僚とおしゃべりしたりして、楽しくすごすのもよいものですが、ときにはひとりでゆっくりする時間も必要です。

自分が心地よいと感じるすごし方を、自分で選ぶことが大切です。それが「選択性」です。

デスクワークでこわばった心身をストレッチでほぐす。ランチでおなかが満たされたことを感じ、背側迷走神経の「休息・消化」モードに入る。限られた時間の中でも、できることはいろいろあります。

近くに噴水や池、川などがあれば、水が流れたり太陽の光できらめいたりするのを眺めるのもよいでしょう。水の音には、副交感神経の働きをほどよく高める効果があり、リラックスした気分にさせてくれます。

<Q>
お昼休みはだいたい同じ部署のグループで、決まったお店に行くのがルーティンです。本当はひとりでゆっくりしたい日もあるのですが、なんとなく流されてしまうというか……。仕事の文句をいっているうちに休憩時間が終わってしまい、バタバタと仕事に戻るという感じで、あまり休んだ気はしませんね。

<A>
ひとりでいるほうが心地よいと感じるときは、やんわりとお誘いを断るとよいですよ。それがポリヴェーガル理論の「選択性」です。
疲れを感じたら身体を動かしてもよいですし、目を見開くなどの簡単なワークで社会交流システムを刺激してもよいでしょう。自分が心地よくいられることを優先してすごしてくださいね。

WORK1:とにかく身体を動かす

椅子に座りっぱなしでいると、心身が固まりこわばってきます。ストレスもたまってしまうので、空き時間を使って身体を動かし、2つの迷走神経を刺激するとよいでしょう。

少し歩くだけでもよいですし、両腕を上げる、軽く屈伸運動をするなどして、身体をほぐしてもかまいません。動くことで2つの迷走神経が刺激され、こわばっていた心身がほぐれてスッキリするはずです。

WORK2:水辺に行く

水の音は、「1/fゆらぎ」と呼ばれる自然のリズムを含んでいます。このリズムは私たちの心拍数や呼吸数とよく似ており、2つの迷走神経を刺激して、その働きを促す効果があります。

さらに、光が反射して水がきらめく様子などの感覚情報が、迷走神経を介して脳に伝わります。これにより心拍が落ち着いて、筋肉の緊張がやわらぎ、リラックス効果がさらに高まります。川や池が近くになければ、公園の噴水や池の音でもよいでしょう。

WORK3:胴体のストレッチ

2つの迷走神経(穏やかなブレーキ)を刺激して、こわばった心身をほぐすワークです。肩と首の力を抜いて、椅子もしくは床に座ります。右手を左足の太ももの外側、ひざのすぐ上に置き、左手は椅子の背もたれか後ろに置きます。

この体勢で、息を吸いながら背骨を伸ばし、次に息を吐きながら身体を左へひねってください。続いて、左右を逆にして同じ動作を行いましょう。ゆっくりと行うのがポイントです。

WORK4: ランチのあとに休息・消化を感じる

ポリヴェーガル理論では、飲みこむ摂食は腹側迷走神経、消化は背迷走神経と言われています。ランチでおなかを満たしたら、すぐに動かず、「ああ、おなかが満たされたな」と感じる時間をとってみてください。

そして、静かに消化が進んでいるのを感じてみましょう。そうすることで背側迷走神経の休息・消化モードが刺激され、つながりモードへも移行しやすくなります。

WORK5: 目を大きく見開く

場所を選ばないワークとして、目を大きく見開くのもおすすめです。文字どおり、目をグッと開く動作を何回か繰り返すだけなので、あまり時間がないときにもぴったり。

目のまわりの筋肉を使うことで、腹側迷走神経の連動をうながし、休憩後も仕事への切り替えがスムーズになります。午後に打ち合わせやテストなどが控えていて、緊張をほぐしたいときにも。

WORK6:仲間と適度におしゃべり

ずっとパソコンに向かって作業するような仕事をしているなら、昼休みに同僚とおしゃべりをするのもよいでしょう。少し言葉を交わす程度でもかまいません。

何気ない交流は、腹側迷走神経(穏やかなブレーキ・つながりモード)を機能させ、午後に向けて心身をよい状態に整えてくれます。会話を交わして顔の筋肉を動かすことも、社会交流システムをほどよく働かせてくれます。

WORK7: 刺激をシャットアウト

忙しいときは、休憩中だけでもスマホや人との関わりといった外部からの刺激をシャットアウトするのもおすすめです。ひとりでリラックスしながらランチを楽しみ、スマホはバッグにしまって、屋外で木々や花を眺めたり水場の近くに行ったりしてすごしてみても。

そんなふうに刺激と距離を置いて、ストレスから働きすぎている神経を休ませるとよいでしょう。

【出典】『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論』著:浅井 咲子

【書誌情報】
『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論』
著:浅井 咲子


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3つの自律神経を味方につけて〈不安ぐせ〉を〈安心ぐせ〉に変える!

「次から次へと心配ごとがでてくる」
「ニュースやSNSで不安になりがち」
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「気持ちの浮き沈みがはげしい」「やる気が起きない」
などの〈不安ぐせ〉を抱える人へ。

ポリヴェーガル理論は、ステファン・ポージェス博士によって提唱された自律神経系の神経理論です。
自律神経を、1つの交感神経と2つの副交感神経(背側迷走神経と腹側迷走神経)の3つで捉えます。

本書では「セオリー」「テクニック」「ワーク」に分けてわかりやすく紹介します。
本当は必要ではないのに過剰に防衛したり、考えても仕方がないことにイラっとしたり、不安になったり。
そうしたもったいない時間を減らして、「今ここ」にある幸せを感じ、安心できるようになるためのメソッドです。

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