報酬は200万円!盲目の天才ワインマニアが仕掛けた「究極のテスト」を天才料理人・味沢匠が拒絶した驚きの理由【ザ・シェフ】

1980年代から平成にかけて多くの読者を魅了し、今なお料理・グルメ漫画の金字塔として語り継がれる『ザ・シェフ』。孤高の天才料理人・味沢匠(あじさわ たくみ)が、法外な報酬と引き換えに依頼人の心をも救う名作です。

その中でも、ワイン好きやファンの間で「屈指の緊張感」と語り継がれるのが、第23話「さらば愛しきワイン①」です。

盲目の「日本一のワインマニア」と呼ばれる老教授。そして、どんな無理難題にも完璧な料理で応えてきた味沢。この二人のプロフェッショナルが、1本のヴィンテージワインを巡って激突します。

目の前に提示された「前金200万円」を前にして、味沢が放ったあまりに冷徹でプライドに満ちた一言とは?


「一口飲めば絶対にわかる」驚異の盲目教授・酒島八郎

物語の舞台は、あるきらびやかなパーティー会場。そこで招待客の注目を一身に集めていたのが、城南大学文学部の教授であり、「日本一のワインマニア」と称される酒島八郎(さかしま はちろう)です。

酒島教授は、目が見えないというハンディキャップを持ちながら、研ぎ澄まされた嗅覚と味覚だけでワインのすべてを解き明かす驚異の能力の持ち主。

出されたワインを一口含むだけで、 「サン・エミリオンやグラブとしてはコクがなさすぎる。間違いなくメドック。マルゴーのような強烈な芳香はなく、ポイヤックにしては優しい……そう、サンテステフだ!」 と、瞬時に産地を絞り込んでいきます。

さらに、ポケットから葉巻を出しそうになった人物を、匂いだけで「この場所で煙草を吸うとは何事だ」と一喝するほどの鋭敏な嗅覚を見せます。

そして、そのワインが日本未輸入のボルドー赤ワイン「プライル・デュクリュ 1934年」であることを完璧に言い当て、周囲の度肝を抜いたのです。


挨拶代わりに1939年ヴィンテージを見抜く味沢匠

そんな酒島教授の才能に興味を抱いたのが、料理界の異端児・味沢匠。教授の自宅を訪ねた味沢に対し、教授は挨拶代わりに倉庫から出したばかりのワインを差し出します。

「どうです?あなたにそのワインの名前がわかりますか」

試すように差し出されたグラス。味沢は一口飲むやいなや、冷徹に言い放ちます。

「この土壌の香りの強さはボルドー・メドック。それもサン・テステフ村。この味は本物だ。1940年代や50年代のものではない。かといって1934年や1937年という極上の年でもない……とすると、1939年」

この完璧な回答に、教授は味沢の実力を確信。「自宅で静かに最上のワインを傾けながら、そのワインに極上のマリアージュ(料理)を味わいたい」という夢を叶えるため、味沢に「料理を作るだけで200万円」という破格の報酬を提示します。


「金は欲しいが、テストは受けない」天才が激怒した理由

しかし、話はすんなりと進みません。酒島教授は味沢の腕前をさらに確かめるため、「私へのテストとして、この1939年のワインに最もマッチする料理を瞬時に判断できるか」と迫ります。

それを聞いた味沢は、無言で荷物をまとめ、部屋を出ようとします。

「どこへ行くのです?」と焦る教授に対し、味沢が言い放った言葉はあまりにも冷徹でした。

「帰るのですよ。私はテストされるのが大嫌いでしてね。金は欲しいが、テストは受けない」

200万円という大金が目の前にありながら、依頼人からの「値踏み」や「テスト」を断固として拒絶する味沢。教授は「テストに落ちるのが怖いのか!」と挑発しますが、味沢は一切動じず、ただ「失礼」と部屋を去ろうとします。


まとめ:一流が魅せる「妥協なきプライド」

最終的に、味沢のブレないプライドと王者の風格に圧倒されたのは酒島教授の方でした。

「待て、味沢君!!わかった、テストはよそう。私のわがままだ。頼むから明日、私のために料理を作ってくれんか!?」

頑固な老教授に頭を下げさせ、テストではなく「正式な依頼」として対等な関係を築かせた味沢匠。これこそが、彼が単なる「お抱え料理人」ではなく、孤高の天才と呼ばれる所以(ゆえん)なのです。

たった一杯のワインを巡る、天才同士の心のぶつかり合い。

果たして、味沢は翌日、どのような料理で「1939年のサンテステフ」を彩るのでしょうか。名作『ザ・シェフ』が描くプロフェッショナルの極限のドラマを、ぜひコミックスで体感してみてください。

<第1話:幻の料理人①>を読むにはこちらから
https://love-spo.com/article/the-chef_001

『ザ・シェフ』次回へ続く!

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【書籍情報】
『ザ・シェフ』
原作:剣名舞
劇画:加藤唯史

法外な報酬を要求するが、依頼人の希望に応じて料理を作り上げる天才シェフ・味沢匠(あじさわ・たくみ)の活躍を描いた料理劇画。石油産出国であるパミール王国でその全権を握る大臣は、外務省関係者がもてなす帝都ホテルの晩餐をほとんど食べ残して帰る。そこで「幻の料理人」と呼ばれる天才シェフ・味沢匠が、大臣を満足させる晩餐を作るように依頼されるが、味沢はその報酬として500万円を提示して……!?

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