「ハレの日」は霊力をチャージする日? 日本人の伝統的生活感覚「ハレとケとケガレ」を解説【眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話】

日本人の伝統的生活感覚「ハレとケとケガレ」

「ケ」とは霊力のこと

日本人の伝統的な世界観を表わす民俗学的な概念に「ハレ」と「ケ」と「ケガレ」があります。

ハレとケは、一般的には「ハレ=祭りなどの特別な日」「ケ=普段の日」といった説明がなされています。これも間違いではないのですが、民俗学ではより深い理論モデルを設定しています。

このモデルでは、ケという言葉は、単なる日常ではなく「霊力(超自然的な力)」のことを指します。本来、私たちの日常はケ(霊力)が充満していることが望ましいとされ、そこから日常(普段)のこともケという言葉で表現します。また、このケが体から離れていき枯渇してしまうことを「ケガレ(ケ離レ)」と呼び、減った霊力を補充するための祭りや正月といった行事を「ハレ」と呼びます。

ハレは、神聖な儀礼や祭りなどを通じて新しい霊力や霊魂を授かることを指します。古来、山や森、海は霊力や霊魂が充満した、人間界とは区別される異界と考えられてきました。この異界から霊力・霊魂を持ってきてくれる存在が「カミ」です。

そして、このカミを迎えて饗応し、持ってきてくれた霊力・霊魂を人間がいただく機会が祭りや種々の年中行事です。また、祭りとは別に、人間が山や森に籠もったり、海水を浴びたりすることで、そこにある新鮮な霊力や霊魂を体にやどらせることも行われます。

「ハレ・ケ・ケガレ」とは?

ハレ

祭り、儀礼、年中行事などの「非日常」を指す。なお、「ハレ」とは、霊力が満ちあふれて「張っている」状態、すなわち「張る」=ハレである。

一般的には普段の生活(日常)のことを指す。ただし、民俗学のモデルでは、「ケ」は単なる日常ではなく、「霊力」を意味する。

ケガレ(ケ離レ)

ケ(霊力・霊魂)が体から離れていく状態。「離れる」は、古語では「離る」という語であったため、「ケが離れた状態=ケガレ」としてモデル化する。

ケガレ(穢れ)

「ケ離レ」が究極に達すると、人は死ぬ。死んだ肉体は腐敗し、そこから「穢れ」が発生する。「穢れ」は人を死に誘う力(マイナスの霊力)である。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』監修:島村恭則

【監修者紹介】
島村恭則(しまむら・たかのり)
民俗学者。関西学院大学社会学部長・教授。1967(昭和42)年、東京都生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。文学博士(筑波大学)。国立歴史民俗博物館教官、韓国・翰林大学校客員教授、東京大学客員教授などを歴任。日本各地で民俗学調査を行うとともに、韓国・中国での調査・研究も行う。
近年は、世界民俗学史をふまえた民俗学理論の研究、とくに民俗学を国際的・学際的な「ヴァナキュラー文化研究」として再編成する議論を展開している。
著書に『みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?』(平凡社)、『民俗学を生きる ヴァナキュラー研究への道』(晃洋書房)、『これからの時代を生き抜くための民俗学入門』(辰巳出版)、『昔話の民俗学入門 民間伝承の秘密を読み解く』(創元社)、編著に『現代民俗学入門 身近な風習の秘密を解き明かす』(創元社)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』
監修:島村恭則


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現代の社会を知る上でも重要な学問ともいわれる「民俗学」。
そもそも「民俗学」とは「民」(=人々)について「俗」(=ヴァナキュラー)の視点で研究する学問であり、日本においては、春夏秋冬の年中行事や風習から、身近な衣食住の伝統や習慣など、都市や地方のあらゆる「文化・もの」について、歴史や謂われ、理由などが存在する。
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