その場でクルリとはいかない操船メカニズム! どうして船は曲がることができる?【眠れなくなるほど面白い 図解 船の話】

どうして舵を切ると曲がることができる?

方向転換のカギは水流にある

船は、車のようにハンドルを切ってタイヤの向きを変えて曲がることはできません。針路変更の役割を担うのは、船尾に取りつけられた舵です。舵は、水の流れを利用して横方向の力を生み出します。

舵を傾けると、水は舵の表と裏で異なる速さで流れます。この流れの違いによって圧力差が生じ、舵には横向きの力が働きます。これが、船が方向転換をはじめるための揚力です。

舵は多くの場合、スクリュープロペラのすぐ後方に配置されます。プロペラが押し出す水流を直接受けられるため、舵が効率よく力を発揮できるためです。その結果、船体は大きな弧を描くように針路を変えていきます。

舵の傾きは「舵角」と呼ばれ、通常は10〜35度ほどの範囲で使われます。角度を大きくすれば回りやすくなりますが、やりすぎると水の流れが乱れ、効率が落ちる場合もあります。船の速さや大きさ、周囲の状況に応じた判断が重要なのです。また、大型船は大きな慣性を持つため、舵を切ってもすぐに向きが変わるわけではありません。操船では、先を見越した操作が求められます。

舵による方向転換はゆっくりに見えますが、その裏側では水の流れと船の動きを計算した精密な設計が行われているのです。

舵はどうやって横向きの力を生む?

直進時

旋回時

舵を傾けると、水が表と裏で異なる速さで流れます。その結果、圧力差が生じ、横向きの力(揚力)が発生します。これが、船が向きを変える力の正体です。

舵の作用で曲がっていく船

舵の作用で船尾に横力が働くと、進行中の船体は回頭しながら大きな弧を描きながら進みます。船はその場で回るのではなく、進みながらゆっくり曲がっていきます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』監修:池田良穂

【監修者紹介】
池田良穂 (いけだ よしほ)
1950年北海道生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科博士後期課程船舶工学専攻修了。同大学工学部船舶工学科助手、助教授を経て、同大学大学院海洋システム工学分野教授に就任。退職後、現在は大阪府立大学名誉教授、大阪公立大学客員教授。船舶工学研究活動に従事し、著作活動では船舶工学・海洋工学等に関するテーマで70冊あまり執筆。主な著書に『図解 船の科学』(講談社)、『基礎から学ぶ海運と港湾』(海文堂出版)、『船の最新知識』(SBクリエイティブ)、『船舶算法と復原性』(共著、成山堂書店)、『船のしくみ パーフェクト事典』(ナツメ社)などがある。
2023 年日本船舶海洋工学会「船舶海洋技術賞」受賞。雑誌、新聞等への寄稿も多く、日本における船舶の理解と認知度の向上に貢献したとして、2025年に国土交通大臣から「交通文化賞」を受賞。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』
監修:池田良穂


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