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心理学的に見ると人間が合理的な生き物であるというのが間違い?【社会心理学】

Text:亀田達也

おとりがあると人は非合理的な選択をしてしまう

経済学では元来、「人は合理的に判断を行う」というふうに考えてきました。しかし、実際の人間の行動を観察すると、実はそう合理的な判断をしているわけではないことが明らかとなってきました。

人が合理的ではないことを示す実験のひとつに、アリエリーの「おとり効果」の実験があります。それは雑誌の購読案内を使った実験で、大学生100人に次の条件でどれを購入するかを回答してもらいました。「①ウェブ版の年間購読・・・価格59ドル」「②印刷版の年間購読・・・価格125ドル」「③ウェブ版+印刷版の年間購読・・・価格125ドル

結果は①が16人、②は0人、③が84人で、③のウェブ版+印刷版を選ぶ人が圧倒的でした。②の印刷版と③のウェブ版+印刷版のセットはどちらも同じ価格なのですから、②を選ぶ理由はありません。もちろん出版社もそのことは百も承知です。では、なぜ②の選択肢があるかというと、これは③を購入させるための「おとり」なのです。

実際、同じ学生に②の選択肢を省いた2択で回答してもらったところ、①を選んだ学生は68人、③を選んだ学生は32人と、おとりがあったときとはまったく違う結果となりました。おとりがあろうとなかろうと、最初に③を選んだ人は、そのまま③を選びそうなものですが、なぜ学生たちは選択を変えたのでしょうか。その理由は、人は物事を相対的に判断するからです。この場合だと②の選択肢があったことで③がお得に感じられ選ぶ人が多かったのに対し、②がないとそのお得感が感じられず③を選ぶ人が減ったというわけです。

ダン・アリエリーのおとり効果の実験【図解 社会心理学】

『図解 社会心理学』はこんな人におすすめ!

・人間の社会における心理に興味がある!
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以上の方には「図解 社会心理学」は大変おすすめな本です。

多数派の意見に同調してしまうのはどうして?

日本人はよく多数派に同調しやすい、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、この傾向はどんな人にも当て余る普遍性を持ったものなのです。なぜ私たちは多数派の意見に同調しやすいのでしょうか?この同調について、有名な実験があります。

この実験はカード①に描かれた線と同じ長さのものを、カード②に描かれた3本の線の中から選ぶというもので、実験には8人の学生が参加しました。回答はひとりずつ順番に行いますが、実は参加者のうち7人は〝サクラ〞で、あらかじめどの線を答えるかを指定されていました。

明らかに間違った答えでも多数派に同調してしまう

この実験の目的は、多数が間違った回答をした場合、被験者はそれに同調するかを調べることで、被験者は7人のサクラの回答を聞いたあと、8番目に回答します。実験は線の長さを変えながら複数回行われましたが、問題自体はいずれもひとりで回答したときは正解率99%というごく簡単なものでした

ところが、7人全員が誤った回答をした条件下だと、被験者による誤答率は32%にも上りました。普通なら間違えようのない問題でも、全員が別の回答を選ぶと、それに大きく影響されてしまうことが明らかとなったわけです。なお、7人のサクラのうち、必ず正解を答える他者がひとりいた場合、被験者の誤答率は5・5%まで低下しました。

会社の会議などでも全員一致の意見に反対するのは勇気がいりますが、ひとりでも反対者がいれば意見を表明しやすくなります。同調を促うながすには全員一致であることが重要で、ひとりでも自分と同じ意見の人がいると、その圧力は大きく弱まるというわけです。

あなたの好奇心をくすぐる面白い知識が満載です

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【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也

「社会心理学」は、心理学の中でも重要かつ人気のジャンル。個人同士の協力、競争、攻撃、援助など「他者との関係」、そして集団、組織など個人を取り巻く「社会との関係」をテーマとする「社会心理学」を、わかりやすく、かつ堅苦しくならないように図解・イラストを用いて紹介する。「社会現象と心理学」、「職場における心理学」「社会の在り方と心理学」など、現代日本において興味深く読めるような身近なテーマを立てて、さらにこれまで行われた心理実験と結果など、「心理学」全般の内容を誌面に取り入れて解説する。会社、学校、家庭、友人ーー集団や社会の中の個や対人関係の本質、行動原理を社会心理学から読み解く1冊!

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