近未来の量子テクノロジーは日常を大きく変える?
量子力学はおおよそ100年前に形づくられた物理学ですが、その後、近年の量子テクノロジーは目を見張る進化を遂げています。
最近における1つの大きな変化は量子物体のわたしたちの世界への進出です。これまで原子や電子といった量子物体は、顕微鏡でも見えない極小の「量子の世界」に長い間閉じ込められていた存在でした。この極小の世界において、量子物体は重ね合わせ状態や量子テレポーテーションなどと呼ばれる不思議な状態と現象を、ごく一部の科学者だけに披露してきたわけです。
ところが、量子センサー、量子通信、量子シミュレーション、量子コンピュータなどの量子テクノロジーのいくつかは、一般的に売られるようになってきたうえ、それ以外の量子関連の多くのものも市販化に向けて急ピッチで進んでいます。
これまで直接見ることや触ることが不可能だった、極小の世界でしか存在できなかった量子物体を、わたしたちが持ったり触ったり、さらには使えるようになった「日常に存在する物体」として現代社会に登場させたのが量子テクノロジーなのです。そして、その旅はちょうどはじまったばかりです。
いまはまだ「量子」といわれても聞き慣れない人が多いかもしれませんが、インターネットも30年前はそうだったのです。その後、何となく知られるようになったにしろ、依然として「研究者だけのマニアックな技術」でした。ですが今日、誰もがパソコンやタブレット、スマホなどでインターネットを使わない日はありません。
量子テクノロジーがわたしたちの生活を一変させるでしょうか? それはどうなるかわかりませんが、電子や原子、粒や波といった量子的なものが、いままで以上にわたしたちの生活に密接に関わってくることは間違いありません。それらが見せてくれる新しい社会や世界の近未来を期待してもらえればと思います。
30年前と現在では社会は様変わり
[30年前のインターネットは研究者のおもちゃ]
いまやインターネットはさまざまな「もの」「こと」でわたしたちの生活を変えた
[現在、量子テクノロジーは市販化]
時間の流れは社会を大きく変える。インターネットが研究者の中でしか利用されていなかった時代から、いまやスマホ、パソコン、タブレットでインターネットはわたしたちの日常に欠かせないものとなっている。
そして社会は変わる!
進展し続ける量子テクノロジーは人類の生活を一変する可能性が高い。果たして近未来の世界は量子的なものを通してどう変わっていくのだろう。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』著:久富隆佑、やまざき れきしゅう
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』
著:久富隆佑、やまざき れきしゅう
その登場以来、物理学の常識を打ち破り、宇宙・自然観から人々の生活まで一変させた革命的理論といわれる「量子(論)」。近年のノーベル物理学・科学賞の受賞者のほとんどが量子論と関わった研究者といわれ、特に注目を集めている。
生命・時間・物質まで、この世界の根本、宇宙全体にわたる究極しくみ、生活に密接に関わり、すべての常識やナゾを解くカギと言われる「量子」だが、とにかく難解である。この量子を一から読み解く一冊。
量子とはそもそも何か?
このミクロの世界の量子が、なぜ重要なのか?
量子によって何がわかり、何ができるのか?
丁寧にとことんわかりやくイラスト図解で「不思議で面白い量子の世界」を読み解く超入門書!
公開日:2025.01.27