神経ではなく、運動能力が高いか低いか!
運動神経とは、私たちが体を動かすために大脳からの命令を体の各部に伝えるときの〝情報の通り道〟となる末梢神経のことです。運動神経がなければ、私たちは思い通りに体を動かすことができず、歩くこともものをつかむこともできません。
運動神経の働き自体には善し悪しがあるわけではなく、脳から筋肉に情報を伝える「伝導速度」にも、個人差はありません。とはいえ、現実にスポーツの得意な人と苦手な人がいるのはどうしてでしょう。
スポーツの上手い下手は、運動神経ではなく〝ある動作を思い通りにできるかどうか〟にかかっています。スポーツが下手な人は、頭ではわかっているのに体がついていかない、思うように動いてくれない、という人です。
反対に運動神経がよいとされる人は、より複雑な情報をより的確に脳に送り、的確な判断をして筋肉へ命令し、筋肉が的確に動く人、ということです。
そしてそれは、練習の積み重ねによってカバーすることが可能です。はじめは下手でも練習を続けていくうちに上手くなるのは、こうした運動の〝間違い〟を確認した脳の運動野から、小脳に信号を送って脳が神経回路を修正するためです。つまり、正確には運動神経ではなく、「運動能力」が高いか低いか、ということになります。
神経系統の発達は環境に影響され、20歳を100とした場合、5歳頃にはその80パーセントに達するといわれます。そして、5〜12歳ぐらいまでにどのような体の使い方をしたかが、その人の運動能力に大きくかかわります。
そのため、運動能力を伸ばすには、とくに「ゴールデンエイジ」と呼ばれる9〜12歳頃に適切な運動をおこなうことが重要なのです。
出典:『図解 人体の不思議』監修/荻野剛志
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志
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公開日:2021.10.07