犬自身もなんで吠えているのかわからない
玄関のチャイムが「ピンポン」と鳴ると、必ず吠える犬がいます。最初は「お客様が来たのがよくわかって便利」と思っていても、それが毎回になると、やかましく感じるでしょう。なんとかやめさせたいと思っている飼い主は多いようですが、どんな条件付けをすればやめさせられるのかわからず、途方に暮れているケースも多いようです。
ロシアの生理学者パブロフは、犬にベルの音と同時にエサを繰り返し与えると、ベルが鳴っただけで唾液を分泌するようになることから「条件反射」を発見しましたが、玄関のチャイムが鳴ると吠えるのも条件反射の一種です。最初は「誰か来たぞ」という警戒心から吠えていた犬も、それが何回も続いたことによって、自分でもなぜ吠えるのかわからないのかもしれません。
吠えることによって興奮も高まっているため、叱るとますます大きな声で吠え、ときにはお客様に飛びかかることも。犬嫌いの人にとって、これほどの恐怖はありません。
興奮させずに吠えるのをやめさせるには、二人がかりの訓練が必要です。まず一人がチャイムを鳴らします。
「ピンポン」と鳴って犬が吠え出しても、それを完全に無視します。無視は、犬にとって、叱られるよりつらいお仕置きなのです。しばらくして吠えるのをやめたら、ごほうびを与えるか頭をなでてやりましょう。
チャイムが鳴ると吠えながら玄関へ走っていく場合は、ドアを開けずに無視します。
これを何度も繰り返すうちに、「チャイムが鳴っても、吠えたり走っていかなければごほうびがもらえる」と学習します。つまり、逆の条件反射が完成するというわけです。
出典:『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』監修/藤井聡
【書誌情報】
『面白くてよくわかる 決定版 イヌの気持ち』
監修: 藤井 聡
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公開日:2021.12.23