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太陽にいちばん近い水星は熱いってホント?【宇宙の話】

Text:渡部潤一

日射を受ける側では400度に達する

太陽にいちばん近い公転軌道で回っているのが水星です。

太陽系のなかではもっとも小さな惑星ですが、平均密度は地球に次いで高い数字を示しています。このことから、水星は鉄などの重い材料でできており、中心部は惑星半径の75~80パーセントを占める金属の核があると考えられます。

小さいけれどめちゃくちゃ重い惑星なのです。

水星がこれほど大きな核を持っているのは、原始惑星だったときの水星に巨大な天体(水星の半分ほどの半径を持つ天体)が衝突し、岩石を主成分とするマントル部分が吹き飛ばされたからと考えられています。

水星は太陽にいちばん近いことで、太陽の日射を受ける側では400度に達する一方、反対側ではマイナス160度まで下がります。

これは、大気が地球の1兆分の1程度と非常に希薄で気温を保持できないうえ、自転が遅くて夜が長いので、夜間に放射冷却が起こるためです。

水星の表面には、月の表面と同じようなクレーターが数多く見られます。

最大のクレーターは、水星の直径の4分の1以上、1300キロメートルあまりの「カロリス盆地」。

これは直径100キロメートルはあったであろう小惑星の衝突によって形成されたと考えられています。衝突したのがもっと大きな天体であれば水星そのものが破壊されたかもしれません。

とはいえ、水星は火星や金星などに比べて地味な存在です。それは太陽の光が邪魔して、なかなかその姿を地上からは見ることができないからです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 宇宙の話』
監修:渡部潤一 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1960年、福島県生まれ。 1983年、東京大学理学部天文学科卒業、1987年、同大学院理学系研究科天文学専門課程博士課程中退。東京大学東京天文台を経て、現在、国立天文台副台長・教授。総合研究大学院大学教授。太陽系天体の 研究のかたわら最新の天文学の成果を講演、執筆などを通してやさしく伝えるなど幅広く活躍している。主な著書は、『最新 惑星入門』(朝日新書)、『面白いほど宇宙がわかる15の言の葉』(小学館101新書)など。


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