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ケガをしていない側の筋トレをするだけでケガをしている側の筋力が落ちにくくなる!

Text:野坂和則

トレーニングをしない側にも効果があらわれる

長期間にわたって使われない筋肉は、だんだんと委縮していきます。例えば左脚を骨折してギプスで固定すると、数週間後にギプスを外したとき、健常な右脚に比べて左脚はすっかり細くなってしまうのです。

ところが「ケガをしていない側の筋力トレをしていると、ケガをしている側の筋力が落ちにくい、筋肉の萎縮も起こりにくい」という事例が、以前からリハビリ関係者の間で知られていました。こうした事例は「交叉性トレーニング効果」、「クロス・トランスファー効果」、「クロス・エデュケーション効果」などと呼ばれています。

トレーニング時に体幹の筋肉が協調して、反対側の筋肉を刺激するのでは? 神経系の働きによるものでは? など諸説ありますが、どうしてこのような現象が起きるのか、そのメカニズムは解明されていません。

こうしたリハビリのトレーニングでも、コンセントリック運動に比べ、エキセントリック運動の方が「交叉性トレーニング効果」を得やすいという複数の報告がなされています。リハビリの世界においても、その有効性に期待がかけられているのです。

【書誌情報】
『ゆ〜っくり座れば、一生歩ける!』
著:野坂和則

一生歩ける足腰はゆ〜っくり座ることで鍛えられる!「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命は、男性は約72歳、女性は約74歳です。誰でも歳をとるにしたがって身体機能は衰えていきますが、その衰え方には大きな個人差が。その個人差の要素のひとつが「運動」です 。運動をしている人とそうでない人では、健康寿命に大きな差が出てきます。運動といってもいろいろありますが、健康寿命を高めるには脚の筋力を維持し、向上させる筋力トレーニングが必須です。しかし、そうは言っても普通の筋トレはつらそうだし、なかなか重い腰が上がらない……という方にこそ実践して頂きたいのが本書で紹介している「エキセントリック運動」です。ゆ~っくりイスに座る時、大腿の前側の筋肉は伸ばされていきます。これが典型的なエキセントリック運動です。本書では、自宅でできるエキセントリック運動を紹介しており、どうしてエキセントリック運動が一生歩けるような足腰をつくるのに適しているのか解説しています。試しに、ゆ~っくりイスに座ってみて下さい。それだけでもかなり脚に効いていることがわかるはず。つらくないのに効果は絶大――。エキセントリック運動をすれば、10年分の筋力低下を、たった2ヵ月で元に戻すことも可能です。転ばぬ先の杖、一生歩ける体でいられるように、今日から準備を始めましょう。高齢者の方はもちろん、家族全員でぜひ読んで頂きたい一冊です。

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