カギを握るのは神経伝達物質のセロトニン
医学的には、日照時間とうつ病との間には密接な関係があるとされ「日常的に日光を浴びている人は、そうでない人に比べてうつ病の発症率が低い」と考えられています。総務省が発表した国別の自殺死亡率調査を見ると、日本と同じか、さらに高緯度にある、日照時間の短い国で自殺の多いことがわかります。
これだけで「日照時間が短いとうつ病による自殺が多い」とは断言できませんが、少なくとも緯度の高さと自殺に、何らかの関係があることはうかがえそうです。そもそも、どうして日光を浴びる時間が少ないとうつになるのでしょうか。
そのカギを握るのは、セロトニンと呼ばれる脳内の神経伝達物質です。セロトニンには心のバランスを整える、精神安定剤のような作用があります。ですからこの物質が不足すると、ストレスやイライラ感が募り、不眠やうつの症状が見られるようになるのです。
このセロトニンの働きを活性化するには、日光を浴びることが大切。太陽の光が網膜を刺激することで分泌が促されます。つまり、日照時間が短く日光を浴びる時間が少なければ、セロトニンの分泌量も減り、うつを発症するリスクも高まるわけです。1日30分ほど日光を浴びることで、セロトニンによるストレスの軽減やうつ予防の効果があるとされています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 ストレスの話』
【書誌情報】
『図解 ストレスの話』
監修:ゆうきゆう
「ストレス社会」といわれている現在、科学や技術の発達で快適になっていく日々の生活とはうらはらに、ストレスからくる心身の不調に多くの人が悩まされています。ストレスの原因は仕事や学校、家庭、SNSなど人によってさまざま。特に最近では、新型コロナウイルスの影響でこれまでの生活様式が大きく変化し、何かと行動も制限されました。それにより、たまったストレスをうまく発散できずに常にイライラしたり、不安感がいつまでたってもぬぐえずあまり眠れなくなったり…また、ストレスは自律神経を乱す原因になるため、放置すると免疫力も下がり、体の不調を招くことになります。本書では、そんな諸悪の根源であるストレスの解消法を医師が解説。そもそも自律神経が乱れるまでストレスをため込まない男女別の考え方と、たまってしまったらすぐに自宅で解消できる方法を、メンタルマネジメントや栄養、運動など実用的な内容で紹介しています。
公開日:2022.08.10