意思決定のメカニズムとは?
人は何かを選ぶ時、時間をかけて情報を精査して選ぶ場合と、限られた情報を駆使して素早く選ぶ場合があります。前者の解決法を「アルゴリズム」と言い、後者の解決法を「ヒューリスティックス」と言います。わたしたちの日常のシーンで例えると、携帯電話を買い替えたい場合、アルゴリズムは、さまざまな携帯電話に触れて使い心地や価格を慎重に吟味して選びます。
自分が求める正解に確実にたどり着ける反面、時間と労力が掛かってしまうのが難点です。対して、ヒューリスティックスは「一番売れている携帯電話」というキーワードを元に買い替える機種を絞って選びます。必ずしも自分が求める正解にたどり着けるわけではないものの少ない労力と時間で効率よく正解にたどり着ける可能性が高いという強みがあります。また、ヒューリスティックスには、「代表性ヒューリスティックス」と「利用可能性ヒューリスティックス」の2種類が存在します。
代表性ヒューリスティックスは、カテゴリーの中で代表的または典型的な特徴を用いる方法です。携帯電話の買い替えを例にすると「一番人気」というカテゴリーの中からもっとも代表的な特徴である「皆が所持している」という情報を引き出し、それをもとに携帯電話を選びます。
利用可能性ヒューリスティックスは、想起しやすい事柄を優先する方法です。携帯電話を選ぶ際、過去に雑誌で見た携帯電話の売れ筋ランキングで、Aという携帯電話が1位になっているのを思い出し、その情報をもとに購入する携帯電話を決めるというわけです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』 監修:亀田達也
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多数派の意見に同調してしまうのはどうして?
日本人はよく多数派に同調しやすい、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、この傾向はどんな人にも当て余る普遍性を持ったものなのです。なぜ私たちは多数派の意見に同調しやすいのでしょうか?この同調について、有名な実験があります。
この実験はカード①に描かれた線と同じ長さのものを、カード②に描かれた3本の線の中から選ぶというもので、実験には8人の学生が参加しました。回答はひとりずつ順番に行いますが、実は参加者のうち7人は〝サクラ〞で、あらかじめどの線を答えるかを指定されていました。
明らかに間違った答えでも多数派に同調してしまう
この実験の目的は、多数が間違った回答をした場合、被験者はそれに同調するかを調べることで、被験者は7人のサクラの回答を聞いたあと、8番目に回答します。実験は線の長さを変えながら複数回行われましたが、問題自体はいずれもひとりで回答したときは正解率99%というごく簡単なものでした
ところが、7人全員が誤った回答をした条件下だと、被験者による誤答率は32%にも上りました。普通なら間違えようのない問題でも、全員が別の回答を選ぶと、それに大きく影響されてしまうことが明らかとなったわけです。なお、7人のサクラのうち、必ず正解を答える他者がひとりいた場合、被験者の誤答率は5・5%まで低下しました。
会社の会議などでも全員一致の意見に反対するのは勇気がいりますが、ひとりでも反対者がいれば意見を表明しやすくなります。同調を促うながすには全員一致であることが重要で、ひとりでも自分と同じ意見の人がいると、その圧力は大きく弱まるというわけです。
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【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也
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公開日:2022.11.07