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集団心理の恐怖!なぜ人間は集団になると誤った判断をくだしてしまうのか?【社会心理学】

Text:亀田達也

他の人の影響により集団規範がつくられる

集団の中で共有されている価値判断や行動判断の規準のことを「集団規範」と呼びます。集団において、そのグループ独自のルールや慣習、価値観があることはめずらしくありませんが、このような集団規範はどのようにしてつくられるのでしょうか?

シェリフは集団の中で規範がつくられていく過程について、次のような実験によって検証しました。

まず2〜3人の被験者を暗室に入れ、暗闇の中で点状の光を見せます。次に被験者に、暗闇の光が何インチ動いたかを順番に回答してもらいます。すると、個人で回答したときはバラバラな数値だったのが、2〜3人で一緒に実験を受けたときは、回数を重ねるごとに全員の答えが次第に近づいていく結果となりました。

実は光はまったく動いておらず、動いたように見えるのはただの錯覚なのですが、複数で行う場合は、他人の答えた数値を参考にするため、だんだんと数値が近づいていきます。つまり、他人の行為に影響されて、本来はバラバラなはずの個人の考えが統一されていったわけです。

こうした集団規範は、所属メンバーの価値観に左右されます。たとえば、「社会人は身だしなみが大切」と考える人の多い集団は、服装や髪形に対して強い集団規範ができやすく、同じ集団のメンバーに対してもその規範に従わせようとする力が働きます。

集団規範が生成される過程の実験【図解 社会心理学】

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多数派の意見に同調してしまうのはどうして?

日本人はよく多数派に同調しやすい、そんなイメージがあるかもしれません。しかし、この傾向はどんな人にも当て余る普遍性を持ったものなのです。なぜ私たちは多数派の意見に同調しやすいのでしょうか?この同調について、有名な実験があります。

この実験はカード①に描かれた線と同じ長さのものを、カード②に描かれた3本の線の中から選ぶというもので、実験には8人の学生が参加しました。回答はひとりずつ順番に行いますが、実は参加者のうち7人は〝サクラ〞で、あらかじめどの線を答えるかを指定されていました。

明らかに間違った答えでも多数派に同調してしまう

この実験の目的は、多数が間違った回答をした場合、被験者はそれに同調するかを調べることで、被験者は7人のサクラの回答を聞いたあと、8番目に回答します。実験は線の長さを変えながら複数回行われましたが、問題自体はいずれもひとりで回答したときは正解率99%というごく簡単なものでした

ところが、7人全員が誤った回答をした条件下だと、被験者による誤答率は32%にも上りました。普通なら間違えようのない問題でも、全員が別の回答を選ぶと、それに大きく影響されてしまうことが明らかとなったわけです。なお、7人のサクラのうち、必ず正解を答える他者がひとりいた場合、被験者の誤答率は5・5%まで低下しました。

会社の会議などでも全員一致の意見に反対するのは勇気がいりますが、ひとりでも反対者がいれば意見を表明しやすくなります。同調を促うながすには全員一致であることが重要で、ひとりでも自分と同じ意見の人がいると、その圧力は大きく弱まるというわけです。

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【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学』
監修:亀田達也

「社会心理学」は、心理学の中でも重要かつ人気のジャンル。個人同士の協力、競争、攻撃、援助など「他者との関係」、そして集団、組織など個人を取り巻く「社会との関係」をテーマとする「社会心理学」を、わかりやすく、かつ堅苦しくならないように図解・イラストを用いて紹介する。「社会現象と心理学」、「職場における心理学」「社会の在り方と心理学」など、現代日本において興味深く読めるような身近なテーマを立てて、さらにこれまで行われた心理実験と結果など、「心理学」全般の内容を誌面に取り入れて解説する。会社、学校、家庭、友人ーー集団や社会の中の個や対人関係の本質、行動原理を社会心理学から読み解く1冊!

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