大丈夫だが、脾臓は健康に寄与している
走ったときに痛くなる左脇腹の臓器
体内には名前こそ知られているものの、役割についてはよく知られていない臓器がいくつかあります。その代表格が、脾臓(ひぞう)でしょう。脾臓は左脇腹にあるソラマメの形をしたスポンジ状の柔らかい臓器で、長さは約10センチ。重さは約100~150グラムです。急に走ったときなどに左脇腹が痛くなることがありますが、その原因は、運動には多くの酸素が必要になるため、脾臓が筋肉などにたくさんの血液を送ろうと過剰に働いて、脾臓が縮むからという説があります。
古くなった赤血球を壊し、免疫系を担う役割
脾臓の内部は、赤脾随(せきひずい)と白脾随(はくひずい)という2つの組織があり、ほとんどが血液で占められています。赤脾随は、古くなった赤血球を壊し、再利用できる成分を回収して、残り分を肝臓に送って処理させることが役目です。白脾随は、白血球(はっけっきゅう)が働いて、感染に対する防御を担う免疫(めんえき)系の器官です。病原体と戦うための抗体(こうたい)をつくり、体の免疫力を向上させる役割があります。しかし、これらの役割は脾臓以外の臓器でも行なわれているので、病気や事故などが原因で、脾臓を摘出しても、多くの場合、すぐに困ることなく生活できます。そのため、なくても生きられるのですが、近年では、脾臓にたくさん蓄えられている白血球の一種であるリンパ球は、心筋梗塞(しんきんこうそく)などで損傷を受けた心臓を回復させる効力を持つことがわかっています。
左脇腹にある脾臓の役割
脾臓
内部の赤脾随では、古くなった赤血球が壊され、白脾随では、免疫力が高められる。脾動脈から脾臓に入った血液は、脾臓内部できれいにされ、脾静脈から出る。その後、肝臓へと血液が送られる血管(門脈)に合流する。
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気になる中身を少しだけご紹介!耳はどんなふうに働いて音を感じるの?
空気の振動を電気信号に変換させ聴覚を生む
いくつもの器官を通って脳に辿り着く
耳の最初の役目は、音を集めることで、そのはたらきをしているのは外側に張り出している「耳介」です。耳介は、音を集めるアンテナで形がぼこぼこしているのは、音を正確に聞き取るためだといわれています。音の正体は音波という空気の振動です。耳介で集められた音波は、外耳道を通り、その先にある「鼓膜」にぶつかると、今度は鼓膜を振動させます。振動は、鼓膜の先にある「耳小骨」というヒトの体のなかで最も小さい骨に伝わります。耳小骨の先には、渦巻き状の「蝸牛」があり、振動が伝わると、なかにあるリンパ液が振動し、蝸牛のなかにある有毛細胞をふるわせます。この有毛細胞はピアノの鍵盤のように音程順に並んでいて、感知した振動の内容を電気信号に変換します。それが神経を通って大脳に伝わり、音として認識されるのです。
耳が遠くなるのは、有毛細胞の衰えが原因
年を取っていくと、耳から入った音が脳に辿り着くまでの間に、さまざまな問題が発生するようになります。なかでも耳が遠くなる最大の原因は、蝸牛にある有毛細胞の衰えです。有毛細胞は蝸牛の入口に近いほど高い音、奥に行くほど低い音に反応するしくみになっていますが、どんな音も同じように入口から入ってくるので高い音を担当する細胞ほどダメージを受けやすくなります。そのためヒトは、年を重ねるごとに高い音から聞こえにくくなっていきます。
音波が聴覚に変わるしくみ
①音波が鼓膜に届き、鼓膜が振動する
②耳小骨が鼓膜の振動の力を増幅する
③ふるえが蝸牛のなかを巡り、電気信号に変わる
④電気信号が内耳神経を通って脳に伝わる
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【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』
著:坂井 建雄
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公開日:2023.09.21