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【ボートレース基礎知識】全選手がインコースを狙うわけではない理由とは?『究極のボートレースガイドブック』

Text:永島知洋

ボートレースの基礎知識

まず初めに〝ボートレース〟とはいったいどんなものなのか、初心者のあなたにもわかりやすく説明します。知れば知るほど、水上の格闘技・ボートレースの底知れない魅力へ引き込まれていくことでしょう。これであなたもレッツ!ボートレース!

フライングスタート方式だからといって、全選手がインコースを狙うわけではない!!

コース取りで大事なのが42ページで説明した「ピット離れ」! ここで遅れてしまうと他のレーサーにコースを取られて枠番より外になってしまいます。逆にピット離れが良いと内側のコースを取れたりします。しかし、ここで一つ疑問が生まれませんか?内が有利でインコースが有利なら、なぜ全選手がインコースを狙わない⁉インが有利ならばみんな狙いたいでしょ!?ここで、ボーレースのスタート方法がまた独特だということに気付くのです!

コース取り『究極のボートレースガイドブック』

陸上競技とかみたいに「よーいドン」で一斉にスタートするなら、走る距離の少ない内側が絶対に有利です。しかし、ボートレースはフライングスタート方式なので、内側が常に有利というわけではない。これがボートレースを初めて見る人が困惑する第2の関門になります。ピットアウトしてゆっくりボートが動いて、急に画面にでかい時計が出てきて、ボートを見たらなんか知らんけど3艇が前にいる。後ろの方には残りの3艇がいて時計が動くと同時にボートが急にスピードを出して進んでくる!「いつがレースやねん!」そう言いたくなるのを説明しましょう!

ピットアウト後に、レーサー達は42ページで説明した待機行動でコースを取ります。自分がスタートするコースを決めると、レーサーはボートを進行方向に向けます。この瞬間にコースが決まるのです。そして、スタート! フライングスタート方式! このスタートから実質的にレースが始まるわけです!さて、みんなインコースを取りたいのですが、ボートにはブレーキが付いていないのです。

 

ということは、モーターはずっと動いたまま。車に例えると、ギアがドライブに入っているとちょっと進んでしまいますよね。ボートも同じ感じで常にゆっくり進んでいるものなのです。このボートの特性が影響してくるのが待機行動時のコース取りというわけです。

ボートにはブレーキが付いていない『究極のボートレースガイドブック』

外枠のレーサーがピットアウトから無理やりインコースを取りに行こうとすると、ボートも進む。先にインコースを取ってもボートはゆっくり進み、スタートラインに向かって進んでいくわけです。するとスタートしたい位置がスタートラインに近づいていき、助走距離がなくなるわけです。ボートはすぐにトップスピードになるわけではありません。助走距離が短いとスピードが乗らないままスタートしなくてはいけないので不利になるわけです。

フライング・出遅れのペナルティ『究極のボートレースガイドブック』

ボートレースは自由にコースを取ることができますが、スタート時のスピードも大事なので、レーサーは自分が最も勝ちやすいコースを取るわけです。なので、前に3艇・後ろに3艇いるのは、陸上競技のような「よーいドン」のスタートではないからなのです。ちなみにボートを後ろに引いてスタートすることを「ダッシュ」といいます。少しでも助走距離を長くしてトップスピードでスタートして内側のボートを追い抜きたいわけです。

ボートレースの用語

『スロー6艇』

基本は3対3での進入ですが、オールスローという進入もあります。言葉どおり全艇がスローからのスタート。この進入は、外の5、6号艇が内側のコースを取りに動いたけれど、内側のボートが抵抗して入れてくれない場合に起こります。あとは6コースのレーサーが、ダッシュのスタートよりスローのスタートの方がタイミングを合わせやすいときなどに起こります。

オールスローはイン逃げが決まりやすいと認識されていますが、どのくらいの位置なのかで状況は変わります!つまり、スタート展示と変わらない位置ならみんなスタートを決めやすいですが、展示と大きく違う位置からのスタートになると、スタートを遅れる可能性が高まり、そのときは外のボートのまくりが決まりやすくなります!

スロー6艇『究極のボートレースガイドブック』

では、内側のダッシュではないスタート位置を何と呼ぶか?これは「スロー」といいます。ダッシュの選手は内側のスローの人達をスタートで攻めたいのでこういう形の進入になるわけです。「スロー3艇、ダッシュ3艇」これが基本的な形。「コース取りとスタートからボートレースは始まる」と覚えてください!!

【出典】『究極のボートレースガイドブック』著:西野精治

【書誌情報】
『究極のボートレースガイドブック』
著:西野精治

近年、コロナ禍の影響もあり公営ギャンブル市場は毎年のように売り上げを伸ばしています。スマートフォンの普及で手軽に参加できることもあり、今やバブル期の売り上げを上回る状況となっています。この公営競技の中でも最もファンや売り上げを伸ばしているのがボートレース(競艇)。公営ギャンブルと言えば中央競馬(JRA)を思い浮かべる人が多いはずです。たしかに昔から競馬ファンは多く、馬券の売り上げが全公営競技の中でダントツに大きかったのですが昨今は状況が変わりつつあります。ボートレースの人気は急上昇、舟券の売り上げは2兆4142億円(2022年度)と約3兆円の中央競馬に肩を並べるまでになっていて、新規のボートレースファンが増加していることを示しています。とはいえ、初心者にはどうやってボートレースを予想していいのかが分からないのも事実。最初は誕生日とか好きな番号、好きな色、カッコいい選手などの理由で舟券を買うのもありですが、ずっとそのレベルではボートレースを本当に楽しめているとは言えないでしょう。本書はその域を脱して「選手の実力」「有利なコース」「レース展開」「モーターやボートの性能の見極め」などを知ることによって、「自分でレースの予想、推理」ができるようになることを伝授する1冊です。著者の永島知洋氏は「ボートレース楽しむプロ」としてほぼ毎日のようにテレビ番組やYouTubeのレース配信番組でボートレースの面白さ、楽しみ方を身をもって示している人です。小難しいことは抜きに「興味はあるけど専門知識ゼロの人が、とりあえず舟券を予想できてレースを楽しめるようになる」をコンセプトに書き下ろした1冊です。

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