骨の成長板が消えると身長の伸びは止まる!
ヒトの体は、全身の骨が少しずつ伸びることで大きくなっていきます。成長期の子どもの骨の両端には、「成長板」と呼ばれる軟骨層があります。ここには骨をつくる「軟骨細胞」や「骨芽細胞」、「破骨細胞」が大量に存在し、これらが成長ホルモンの働きで活性化すると、分裂を繰り返しながら少しずつ骨が長くなり、成長していきます。
また、思春期になると、成長ホルモンに加えて骨芽細胞の働きを高める「性ホルモン」が増えることで、身長(骨)も一気に伸びます。しかし、成長板の軟骨細胞は、ある程度骨が成長すると分裂をやめてしまいます。その時期、つまり身長が伸びなくなるのは女性で15~16歳、男性で18歳頃といわれますが、これには多少の個人差があり、20歳くらいまで伸びる人もいます。
思春期が来ると、最終身長はだいたい決まってしまうのです。骨の両端にある成長板は、「骨こっ端たん線せん」とも呼ばれ、骨端線が確認できれば、まだ身長が伸びる〝伸びしろ〟があるということです。骨端線は20歳を過ぎたあたりから徐々に骨に変わって白くなり、やがて消えてしまいます(骨端線が閉鎖する)。骨端線が消えると身長はそこで止まってしまいます。身長が伸びなくなっても背骨は20歳、手足の骨は30歳頃まで骨量が増え続け、大人の体をつくっていきます。
ところで、身長は遺伝ですべてが決まると思っている方も多いと思います。もちろん、遺伝的要素もあるのですが、睡眠、運動、食事、ストレスなどの後天的環境要素も大きな要因となります。「寝る子は育つ」のことわざとおり、成長ホルモンが分泌されるのは寝ている間です。成長のためにも、質のよい睡眠をとることが大切です。
『眠れなくなるほど面白い 図解 人体の不思議』はこんな人におすすめ!
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テレビやインターネットには健康に関するさまざまな情報があふれており、スマートフォンで専門的な知識ですら手軽に検索することが可能です。しかし、これらの健康に関する情報にはさまざまな内容が含まれており、その真偽を含めた有用性(どれが大事な情報か)を判断することが難しい状況があるように思われます。
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脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?
生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。
動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。
また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。
天才は生まれつきではない、幼少期がポイント
ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。
しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。
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【書誌情報】
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公開日:2023.11.08