約37兆個もの細胞が集まって組織をつくっている!
人間の体を構成する成分の中でもっとも多いのは「水分」で、体重のおよそ3分の2を占めています。続いて筋肉や内臓、血液、髪や皮膚などをつくっているタンパク質、脂質で、さらにカルシウムやリン、微量ながら亜鉛、鉄、銅、マグネシウムなどの重金属も含まれています。
そして、筋肉や内臓をつくっているのは、生物の基本単位となる小さな細胞です。ヒトの体は、約37兆個もの細胞が集まってできていて、水分の3分の2は細胞内に含まれています。細胞の形は体のどこで、どんな働きをするかによって異なり、全部で約200~300種類ほどあるといわれます。細胞は小さなもので数マイクロメートル、大きなものだと200マイクロメートル(0・2㎜)にもなり、大きさも形もさまざまです。
しかし、どんなに形や大きさが違っていても、基本構造は同じです。ひとつの細胞は、細胞全体を包む「細胞膜」と、その中の「細胞質」にある遺伝子情報が収められた「核」や活動のためのエネルギーをつくり出す「ミトコンドリア」、タンパク質をつくる「リボソーム」、細胞分裂のときに中心となる「中心体」などから構成されています。
人間の体は、1個の受精卵から始まります。受精卵が細胞分裂を繰り返し、さらに筋肉や骨、心臓など、それぞれの役割を担った細胞に「分化」します。発生から初期の胚はい細胞は、さまざまな種類の細胞になる潜在的能力を持っており、このような状態を「未分化細胞」といいますが、ある程度分化が進むと同じ働きをする細胞が集まって神経・筋・上皮などの組織となります。そして、成長後も毎日膨大な数の細胞が新陳代謝を繰り返して私たちの体を維持しているのです。
『眠れなくなるほど面白い 図解 人体の不思議』はこんな人におすすめ!
・人間の体の構造について学びたい
・人体における不思議なメカニズムについて触れてみたい
・誰かに話したくなる体の雑学を得たい
以上の方には「図解 人体の不思議」は大変おすすめな本です。
テレビやインターネットには健康に関するさまざまな情報があふれており、スマートフォンで専門的な知識ですら手軽に検索することが可能です。しかし、これらの健康に関する情報にはさまざまな内容が含まれており、その真偽を含めた有用性(どれが大事な情報か)を判断することが難しい状況があるように思われます。
これらの情報の有用性を判断して有効に活用し、自分自身が健康であるためには、まず人間の“からだ”についてできるだけ正しい知識を持つことが重要ではないでしょうか?なぜならこの正しい知識を持つことが、巷にあふれる健康に関する情報に流されず、鵜呑みにせず、どれが有用な情報であるのかを判断できるようになる土台となるからです。
本書では、人間の“からだ”についての理解を深めるための基本的な疑問を取り扱い、図解を入れながら、わかりやすく説明しています。読めば皆様の“からだ”のことをもっと知ろうとする意欲を刺激し、さらに知識を得るための第一歩となってくれるはずです。
脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?
生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。
動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。
また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。
天才は生まれつきではない、幼少期がポイント
ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。
しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。
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【書誌情報】
『図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志
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公開日:2023.11.20