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葬儀でかかる費用の内訳とは!?セットの構成や各費用の名称は葬儀社によって異なる!【増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック】

Text:奥田 周年

葬儀費用の内訳

葬儀社に支払う費用は、大きく「基本費用」 「別途費用」 「立替費用」 に分けられます。葬儀社のセット料金はこれらの費用を独自に組み合わせたもので、セットの構成や各費用の名称は葬儀社によって異なります。

基本費用

一般的なお葬式を執り行うのに必要な棺、祭壇、位牌など。これらは一度決定したら金額の変更はなく、額面通り請求されます。受付事務用品一式、設営、司会進行など葬儀施行人件費もここに含まれます。

別途費用

移動距離に応じて可算される霊柩車やマイクロバスの車両費、会葬者数によって増減する会葬礼状や返礼品などです。また葬儀プランのグレードアップやオプションを追加するための費用がこれにあたります。

*見積書と請求書の値段が違う場合は、たいていこの別途費用によるものです。葬儀社とのトラブルのもとになりやすい部分なので、別途費用を考慮したうえでの費用の目安を確認しておくと安心です。

立替費用

その名のとおり葬儀社が立て替えておく費用(実費)でおもに式場や火葬場の使用料、飲食費、寸志(心づけ)などです。

葬儀各品目の相場

式場使用料

おもに斎場、寺院や教会、集会所など。近年は設備の整った火葬場と併設している斎場が主流で、規模により使用料が異なります。近年は家族葬向けのリーズナブルな斎場も増えています。相場は、公営で5万〜10万円、民営は5万〜数十万円など。

祭壇

葬儀費用の中でもっとも値が張るのが祭壇費用。伝統的な白木祭壇と生花祭壇があり、近年は都市部で生花祭壇が人気で、花の種類によっても値段も多様です。相場は、白木祭壇が20万円〜。生花祭壇は式場の広さと量で値段は大きく異なります。

主流はラワン合板の表面に天然木を貼った合板棺や、布を貼った布貼り棺などが一般的。紙素材のエコ棺も増えています。 桐、 樅、 檜などの天然木を使用した棺は10万円からで、彫刻が入るほど高額になります。一般的な棺は3〜30万円。天然木棺は百万円以上するものも。

棺【増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック】

遺影

「四つ切」サイズが一般的でしたが、自宅に飾ることを考えてやや小さめの「六つ切」サイズが好まれます。近年、薄暗い式場では高い効果を発揮する電飾仕様の遺影が増えています。相場はカラー四つ切は3万円前後。カラー六つ切は2万円前後。

※相場は一例で、いずれも都内近郊の費用を参考にしたもの。

骨壺

瀬戸の白覆いが主流。有田焼、大理石になると値段が上がります。火葬場で骨壺を購入しなければならない場合や、あるいは無料提供の場合もあるので、葬儀社に確認を。また、分骨する場合は専用の骨壺を別途購入します。相場は白瀬戸で1万3千円前後。

寝台車

病院から自宅や式場へ搬送する車両費(運転手込み)。寝台車にはワゴンやバンの普通車が使用されるため、相場には大きな差は生まれません。10kmまでで1万5千円前後が一般的です。なお、自家用車で故人を搬送しても、法律に触れることはありません。ただし、死亡診断書の携帯が必須です。

火葬場休憩室使用料

火葬している間に待機する控え室として、たいていは利用します。火葬料金が無料の施設は休憩室も無料となる場合も。部屋の大きさにより、数千円〜2万円前後と幅があります。

霊柩車

自宅や式場から火葬場へ遺体を搬送する車両費(運転手込み)。普通車か特別車(宮型霊柩車やキャデラックなどの高級洋型霊柩車)かで値段が大幅に異なります。相場は10kmまで1万5千〜4万5千円。同行するマイクロバスは3万5千円前後。

霊柩車【増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック】

火葬料

全国的には公営施設が圧倒的に多いものの、東京都では民間の総合斎場を利用するケースが大多数を占めています。公営の場合、火葬料金が無料となる自治体も少なくありません。ただし、指定区域外の住民が利用する場合は別料金の扱いになります。民間は5万円前後。公営は無料〜4万円。

遺体保管料

遺体を自宅に戻さない場合は、遺体保管施設で安置します。使用料は日数で加算。相場は1泊ごとに、公営保管室は3千円程度。民間保管室は3千〜7千円となっています。

ドライアイス

遺体を保存するために必要です。料金は1日分ごとに加算されます(重量で加算される場合もある)。夏季には増量が見込まれます。1日あたり5千〜1万円が一般的です。

会葬礼状

会葬へのお礼を伝える礼状は、会葬者が増えても対応できるよう多めに準備します。葬儀社にひな型を使用して作ることも可能。名前入りは100枚単位の発注で1枚100円前後。

返礼品

会葬礼状と一緒に手渡す返礼品は、多めに用意しますが、通常は渡した分だけの請求です。相場は1人あたり500〜千円程度。返礼品は会葬のお礼なので、香典のお礼ではありません。香典をもらった人には、追って香典返しの品を送ります。

飲食費

通夜ぶるまいの料理は、親族や会葬者の数をおおむね算出し、その7割くらいを目安にオードブルなどを用意します。精進落としは、通常1人1席を設けるため、通夜ぶるまいより高くなるのが普通です。相場は1人あたり、通夜ぶるまいは3千〜4千5百円。精進落としは4千5百〜6千5百円。

飲食費【増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック】

※相場は一例で、いずれも都内近郊の費用を参考にしたもの。

お葬式の告知

告知の方法

式場で会葬者を迎えて行うお葬式を希望している場合は、日時と場所が決まり次第、すみやかに親交のあった人々や勤務先などに連絡します。連絡手段は電話がほとんどで、式場の地図などを送る場合は電子メールやFAXを用います。人数が多い場合は、さらにその先へ連絡を取ってもらいましょう。

通知状の作成

一般のお葬式で通知状による告知はほとんど見られなくなりました。通知状を作成するのは、故人が会社や団体に所属していた場合です。通知状は、たいてい勤務先の総務部や人事部などが作成します。一方、会社役員の場合には取引先や関連会社などに向けても告知します。

新聞広告と年賀欠礼状

地方在住の場合や社会的に知名度が高い人が亡くなった場合は、新聞に死亡広告を出して広く告知することもあります。広告面積の大きさで料金が変わり、掲載料の他に原稿作成料もかかります。家族葬や密葬で会葬者を限定した場合は、後日死亡通知状を郵送するのがマナーです。年賀欠礼状も死亡通知の代わりになるので、時期によって使い分けましょう。

【出典】『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』著:奥田 周年

【書籍情報】
『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』
著:奥田 周年

身内が亡くなった場合、悲しむ間もなく遺族として葬儀や相続などさまざまな手続きをこなさなければなりません。本書『増補改訂版 身内が亡くなった時の手続きハンドブック』は、危篤の対応から相続する場合に心得ておきたい知識まで、事例や図解を交えながらわかりやすく解説しています。将来に向けて事前に準備をしておきたい方だけでなく、すでに相続が発生していて不安を抱えている方も、流れをイメージしながら必要な手続きについて知ることができる1冊です。

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