南極の氷の下にはすごい量の資源や宝石が眠っている【図解 地理と経済の話】
分厚い氷床の下はまだまだ謎が多い
南極は日本の約37倍の面積がある巨大な大陸ですが、その98%は氷(氷床)に覆われています。氷床の厚さは平均2450mで、最も厚い氷床は4500m。富士山も埋もれてしまうほどの分厚さです。地球上の氷の90%は南極大陸にあるとされますが、地球温暖化が進み、この氷が溶けてなくなると、海面が40~70m上昇するといわれています。
ところで、南極の分厚い氷床の下はどうなっているのでしょうか。探査の結果、湖があり、川も流れていることがわかりました。湖は数多く発見されていますが、そのうち最大のものがボストーク湖です。琵琶湖の20倍以上の広さがあり、バクテリアや菌類などの生物も確認されました。その多くが、氷の底で閉ざされた時間を過ごした未知の種類です。
氷床の下に眠るのは、太古の微生物ばかりではありません。たくさんの地下資源が存在すると考えられています。これまでにも石油・天然ガス・石炭といった化石燃料や、宝石を含めた数多くの鉱物資源が確認されています。
とはいえ現在、南極条約により、南極はどこの国にも属さず、平和的利用や領有権の凍結が定められています。つまり、どんな貴重な資源が眠っているにしろ、勝手に資源を採掘したり移動させたりすることはできないのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある
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昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
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公開日:2024.10.31