地球の磁場も味方に?カラスたちが捉える未知の視覚世界とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話】

自慢のパーツは目です

鳥の感覚の中で何といっても優れているのは目です。哺乳類は一般的にあまり目のいい動物ではなく、ヒトを含むサルの仲間は例外的に目に頼っているグループです。一方、鳥は上空から遠くを見る、飛びながら的確にモノを見分ける、といった能力が必要です。

ただし、視力検査のような二点分解能(二つの点を近づけていくと、どこまで分離して見えるか)は、そこまで飛び抜けているわけではないという研究もあります。その研究によると、抜群にいいのはワシ・タカの仲間で人間の数倍ありますが、ニワトリなどは人間より悪い程度。カラスは「人間より悪くはないが、鳥の中では普通」とされています。ただし、鳥全般に高速で動くものを見分ける能力は格段に高く、人間には流れて見えるものもちゃんと識別できます。

鳥は三原色に加えて紫外線も見えます(というか哺乳類以外の脊椎動物や昆虫はだいたい紫外線が見えます)。紫外線が何色に見えているかは全くわからないのですが、人間の目とは世界が違って見えているのは確かです。鳥の羽毛の紫外線反射の強い部分はだいたい人が見ても反射が強いのですが、紫外線も見える鳥にとっては、人間が見るより明確な模様が見えている可能性はあります。

あと、地球の周りにある磁場(方位磁石が南北を指すのはこれのせい)が一部の視細胞に干渉するため、見るだけで南北がわかるのではないかとも言われています。

人間よりも多くの色を見分けられる

カラスに限らず、鳥類には紫外線が見えます。また、ヒトのように3原色ではなく、紫外線領域に、もう1つ原色がある4原色型です。ヒトには同じ色に見えても、紫外線反射の強さが違えば別の色に感じられるはずです。残念ながらそれがどんな色なのかは、紫外線色覚を持たない私たちには見当もつきません。

カラスQ&A 目が左右に離れているけど、視野は広いの?

広いけど、両目で見るのは苦手

鳥の目は頭の横のほうにあり、視野は抜群に広いのですが、両眼視できるのは前方30度くらいです。片目では正確な距離感が得られないので、鳥は素早く左右に首を振って両目で対象物を見るようにしています。極端なのはヤマシギで、目がほぼ真横にあってほぼ360度見えており、後ろのほうが両眼視野が広いくらいです。

左右の目が離れているので… 首を左右に振らないと見えない

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』著:松原 始

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』
著:松原 始


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