ふたご座は全然ふたごじゃない!? 驚きの「宇宙の距離感」【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】


地球からの距離はバラバラ
夜空の星たちは、明るさや大きさの差こそあれ、どれも地球からは変わらない距離にあるように見えます。もちろんそれは錯覚。どの星をとっても、それぞれ地球から異なる距離に存在します。それはひとつの星座を構成する星たちの場合でも同様です。
天文学の世界で使われる「光年」という単位があります。「年」とありますが、これは「時間」の単位ではなく「距離」の単位。星同士の距離を示すときにも、この光年を使って表現します。
有名な冬の星座オリオン座を構成する星に、赤い星「ベテルギウス」と青白い星「リゲル」があります。どちらも明るく輝く1等星ですが、地球からの距離は、ベテルギウスが約500光年、リゲルが約860光年と、約360光年もの開きがあります。
1光年は、光の速さで1年かかるということ。そういわれても、すぐにはピンとこないかもしれません。では、1光年が約9兆5000億kmと聞いたらどうでしょう。想像を絶する差があることがわかるはずです。
オリオン座と同じ冬の星座に、「ふたご座」があります。この星座を象徴する2つの星が、兄の星「カストル」と弟の星「ポルックス」です。地球からの距離は、51光年と34光年で、〝ふたご〟といえど15光年もの差があります。
地球からの距離はこんなに違う

星座とはまた別の、特徴的な星の並びを「アステリズム」と呼びます。そのひとつである「冬の大三角形」を構成する3つの星も、地球までの距離はそれぞれ異なる。
「ふたご座」という名前から、すぐ近くにあるようなイメージがわくが、実際にはかなりの距離がある。
過去の光を届ける星たち
星の光が地球に届くまで果てしない時間がかかる。地球から見えるシリウスの姿はおよそ8〜9年前のものだが、アンドロメダに至っては250万年も前のものだ。

地球から見てもっとも明るい恒星「シリウス」、夜空の目印となる北極星「ポラリス」、肉眼で見えるもっとも遠い天体の「アンドロメダ銀河」。それぞれの地球からの距離はまったく違う。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』監修:渡部 潤一
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話』
監修:渡部 潤一
これを読んだら、夜空を見上げずにはいられない!
知れば知るほど面白い、不思議で壮大な“天体”の魅力と楽しみ方をわかりやすく解説!
天文学とは、人類最大の謎とも言える「宇宙ってどうなっているの?」を観測によって解明しようとする研究分野で、最も歴史のある学問の1つです。
本書では、そんな天文学の話の中から、今日から夜空を見上げたくなる天体の雑学、望遠鏡がなくても観測できる星の探し方など、天文学を身近に感じる話題を厳選して掲載します。
「月食って月の満ち欠けと何が違うの?」「金星は星なのに真夜中に見えないのはなぜ?」「冥王星はなぜ惑星から外されたの?」など、意外と答えられない天体の素朴なギモンも解消!
また、「ローマ教皇が阻止したかったガリレオ・ガリレイの“地動説”とは?」といった、天文学を取り巻く学問と宗教の関係や、現在研究されている「宇宙」にたどり着くまでの天才たちの数々の説のウソホントなども解説します。
天文学の魅力と歴史を楽しみながら学べる一冊です。
この記事のCategory
オススメ記事

都会の夜空でもくっきり見える1等星は21個しかない!?【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

「火星の大接近」はいつ?見ごろと楽しみ方をチェック!【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

流れ星を見つける確率を上げる方法【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

「金星は夜に見えない!?」意外と知らない“明星”の雑学【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

星のなかで唯一、北極星だけ動かない理由とは【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

「ブルームーン」は本当に青い!? 人々が見上げる数年に一度の奇跡【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】

ふたご座は全然ふたごじゃない!? 驚きの「宇宙の距離感」【眠れなくなるほど面白い 図解 天文学の話】
