飛行機はどのタイミングで飛ぶと決める?3つの離陸速度の役割とは【眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話】

離陸速度は実際にどう使われるか

3つの離陸速度V1、VR、V2

離陸の許可が出たら、まずスラスト・レバーを離陸出力の70%程度まで押し進め、すべてのエンジンが揃って安定したならば、離陸推力にセットします。一度に離陸推力まで出さなのは、ジェット・エンジンの特徴である加速性の悪さがあります。

特にアイドル(緩速運転)から70%程度までの加速性が悪いため、左右の推力が揃わないと機首があらぬ方向に向いてしまう恐れがあります。離陸推力にセットされると、身体が座席に押しつけられ、加速が始まったことが実感できます。

速度計の指示がV1を越えると、スラスト・レバーから手を離します。その理由はエンジンが故障しても、もう後戻りをしない決心をしたからです。逆にV1に達するまでは、いつでもスラスト・レバーをアイドルにする準備をしています。急停止するには、まずスラスト・レバーをアイドルまで絞ってからブレーキをかけます。

VRで機首を引き起こすと、飛行機は陸地から離れて空中に浮き上がります。飛行機が地面から離れ、浮き上がることを浮揚、英語ではリフトオフ、またはエアボーンといいます。

リフトオフして脚が地についていなくても、V2を越えたらひと安心です。鳥も飛び立つ時には必死になって羽ばたき、その後ゆっくりと羽ばたきますが、V2に達したからでしょう。

上昇を続けて、予定した巡航高度に達すると、水平飛行に移ります。

そして、予定した巡航速度まで加速すると、上昇推力からその速度を維持するための推力に自動的にセットされます。これは、フライトの中でもっとも安定した飛行状態である巡航に移ったことを意味します。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』
著:中村 寛治

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