杉原麻美さんインタビュー【前編】見た目だけじゃない!歯並びは「人生全体」を左右する!?


新刊『歯並びをよくする離乳食・幼児食』発売記念・特別インタビュー
SNSの普及やグローバル化などにより、歯並びへの意識が高まり続けている昨今。「うちの子の歯並びは大丈夫かな?」と心配な方も多いのではないでしょうか。小児歯科医であり母親でもある杉原麻美先生も、そんな一人だったそう。出産後に離乳食・幼児食コーディネーターや口育士の資格をとり、学びを活かして育児や診療にあたった経験のなかから「ぜひ多くの親御さんに知ってほしい」ことを、初の著書『歯並びをよくする離乳食・幼児食』にまとめました。歯並びだけじゃない、「我が子により良い人生を」と願うすべての親御さんにとっての必読書です!(全3回連載のうち1回目)
取材・文:細井 秀美 撮影:天野憲仁(日本文芸社)

歯並びは「遺伝<習慣」!遺伝と決めつけずに
「歯並びも遺伝するから、うちの子も矯正かなあ」
「まだ乳歯だから、もうちょっと様子を見てから」
そんな風に考えて、お子さんの歯並びの行方をとりあえず見守っている親御さんは少なくないようです。
でも、ひと言いわせてください……良い歯並びづくりのために今からできることは、実はたくさんあるんです!
たしかに、歯並びは遺伝の要素もあります。ですが、日頃の習慣・クセ・姿勢・食事などを見直すことで、予防できる部分はとても大きいのです。そして、良い歯並びのためのケアを始めるのは、「早ければ早いほどいい」のです。
歯並びを良くするポイントの前に、まず、歯並びの重要性についてお話しさせてください。
歯並びが良いと、頭も運動神経も良くなる!?
良い歯並びのメリットは、「見た目の良さ」だけではありません。歯並びが悪いと、たくさんのデメリットが起こり得ます。たとえば……
・虫歯や歯周病になりやすくなる(歯磨きがしにくいため)
・風邪などを引きやすくなる(口が閉じづらいために口呼吸になることで、ウイルスが入り込みやすくなるため)
・消化不良や栄養不足になりやすくなる(食べ物がしっかり噛めず、栄養素がうまく吸収できないため)
・姿勢が悪くなり、首や肩がこりやすくなったり、バランス感覚が悪くなったりする(あごや口の位置が崩れるとことで、姿勢も崩れてしまうため)
・運動能力が下がってしまう(歯並びが良く、噛む力が強い人のほうが、いい結果を出すことが分かっています)
・集中力・記憶力・思考力などがダウンし、学力にも影響してしまう(噛み合わせがうまくいかないと脳への刺激がきちんと伝わらないため)
・発声・発音がしにくくなる
ざっと挙げただけでも、こんなに!
見た目への影響は、氷山のほんの一角にすぎません。
「歯並びは人生全体に影響するもの」「一生もの」だということがお分かりではないでしょうか。
これほど重要だからこそ、お子さんの歯並びはなるべく良い状態にしたいですよね。
「食材は小さくやわらかく」「ストロー使い」は、おすすめしません
良い歯並びをつくるには、「土台となるあごや口をしっかり育てること」がカギです。さらに、歯並びケアは歯がない0歳から、それこそ生まれてすぐから始めるのがおすすめです。
まず、首が座るまではまん丸抱っこが基本。頭が後ろにのけぞってしまう抱き方だと口が開き、口呼吸になりやすいからです。
授乳時間はお口の筋トレ時間でもあります。しっかり口を開き、乳首を深くくわえさせましょう。
また、哺乳瓶は逆さまにしてもミルクが出てこないタイプを選んでくださいね。簡単に出てくるものでは、口を鍛えられません。
良い歯並びのために気をつけたい習慣・クセ・姿勢・食事は、乳幼児以降もたくさんあります。
意外かもしれませんが、「食べやすいように、食材はなるべく小さく・やわらかくする」「スパウトやストローを使って水分補給をする」といったことも、悪い歯並びにつながる恐れがあります。このあたりのことは、ぜひ本書をチェックしてみてくださいね!
「うちの子は0歳を過ぎてしまったから、もう遅い!?」とガッカリしている親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、落ち込む必要はありません! もちろん、早く始めるに越したことはありませんが、気づいたときから始めれば大丈夫。あごやお口の成長が続く学童期までは、ぜひ、親子で日頃の習慣などを見直して、良い歯並びをつくりあげていきましょう!
次回の記事では、小児歯科医師として日々子どもと接しているからこそ見える「子どもの口で起こっていること」についてお伝えします。
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参考)プレスリリース
発売リリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000692.000041489.html
即重版リリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000693.000041489.html
【書誌情報】
『歯並びをよくする離乳食・幼児食』
著:杉原 麻美(すぎはら あみ) レシピ監修・制作:藤原 朋未(ふじわら ともみ)
お子さんの歯並び、お口の状態、気にしていますか?
昔に比べ、やわらかいものを食べるようになった昨今、お口まわりの筋肉や、飲み込む力が未発達なままとなり、「でこぼこ歯」「出っ歯」「ポカン口」「受け口」などの、お悩みを持つお子さんが増えています。
歯並びや、噛み合わせの悪さが与える影響は多々ありますが、大人になってからもデメリットとなり続けるものばかりです。
「でも、歯並びは遺伝の影響では…?」と思った方にこそ、
手に取っていただきたいのが本書です。
実は0歳児からのミルクの飲み方、哺乳瓶の選び方、
離乳食・幼児食のメニュー、食べ方といったことのすべてが、
お子さんの歯並びにつながっているのです。
お口を育てる視点から、「月齢を目安にするよりも、お口の状態に合わせて進める」「誤嚥を防ぐ細かい切り方ばかりだと歯を使わず、お口の発達が促されない!」といった、離乳食・幼児食の新常識を解説し、一生ものの「きれいな歯並び」をつくる、離乳食・幼児食のフリージング&作りおきレシピをご紹介します。
【著者紹介】
杉原 麻美 (すぎはら あみ)
東池袋すぎはら歯科+kids 副院長
2015年日本大学歯学部卒業後、同大学付属歯科病院小児歯科学講座に入局。子どもや障がいのある方の歯科疾患、口腔機能について学ぶ。数軒の歯科医院勤務を経て、2024 年より現職。自身も幼少期から虫歯になりやすく、また歯並びが悪かったことから矯正治療も必要に。先の見えない歯科治療にあまりいいイメージがなかったこともあり、子どもが楽しく通える歯科医となって歯科疾患予防ができればと思い、小児歯科医の道へ。結婚出産後、娘の歯が生えてくるのが平均より遅かったこと、一般的な離乳食の進め方と娘の口腔内の状況が合わなかったことで悩み、産休中に離乳食・幼児食コーディネーターの資格を取得。その後、口育士の資格も取得。乳児、幼児の食事について学ぶなかで、小児歯科と離乳食・幼児食はかなり密接であり、口腔の健全な発達発育のためには食事のとり方が重要であることを痛感する。食事のとり方を含め、小児の虫歯予防、口腔機能発達についても指導やケアに注力している。
ホームページ https://www.sugihara-dental-kids.com/
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