ダイヤモンドはなぜ宝石の王さまと呼ばれる? 最強の宝石の正体とは【宝石・ジュエリー図鑑】

宝石の不動の王さま「ダイヤモンド」

写真:BIZOUX
英語名:Diamond
日本語名:-(金剛石)
主な産地:南アフリカ、ロシア、オーストラリアなど
モース硬度:10
石言葉:清純、無垢
誕生石:4月

だれにもきずつけられない 宝石の王さま

だれもが知っていて、その輝きにあこがれる人も多いのがダイヤモンド。人気の宝石のひとつです。

紀元前800年ごろ、人がダイヤモンドとはじめて出会ったといわれます。当時は、ダイヤモンドを今のようにきれいに見せるカットの技術がなかったので、とてもかたい石ということからおまもりとされていたそうです。

その硬さからか、「征服されないもの」という意味のギリシャ語「アダマス」がダイヤモンドの語源だといわれています。

ダイヤモンドらしい複雑なカットの「ブリリアントカット」は、18世紀に考え出されました。ファセット(カット面)が中央から放射状に配置される、ダイヤモンドが一番輝いて見えるカットです。

ブリリアントカットされたダイヤモンド

ダイヤモンドが一番美しく輝いて見えるカットです。

写真:BIZOUX

地球のなかで生まれた宝石

ダイヤモンドは、炭素という原子だけが結合してできています。炭素だけでできた宝石は、ダイヤモンドのほかにはありません。

ちなみに炭素だけでできているグラファイトという鉱物が使われている身近なものとしては、えんぴつやシャープペンの芯などがあります。

ほとんどのダイヤモンドは、16億年〜30億年以上前に、地球の表面から150kmくらい深いところで生まれたと考えられています。そこは温度が1500℃以上で、圧力は5万気圧以上もある高温高圧な場所。

そんなとてもきびしい環境のなかで炭素がしっかり結びついて結晶化し、ダイヤモンドになります。

その後、20億年前から2000万年前の間に地球の深いところから、すごいスピードで吹き上がるキンバーライトマグマと一緒に、ダイヤモンドは地表近くへと運ばれました。


地球上で一番かたい鉱物

ダイヤモンドの日本語名についている「金剛」は、「金属のなかでもっともかたいもの」という意味。

その言葉の通り、ダイヤモンドは地球上で一番かたい鉱物です。つまり、ダイヤモンドにきずをつけられるのはダイヤモンドだけなのです。

あらゆるものを磨き、切断し、けずることができるので、宝石にならないダイヤモンドの原石は、ほかの石をけずるための道具や、工業用のドリルなどに使われています。

いろいろな色のダイヤモンド

無色透明のイメージがあるダイヤモンドですが、じつはさまざまな色のものがあり、それらを「ファンシーカラー・ダイヤモンド」とよぶこともあります。蛍光や燐光が見られるダイヤモンドもあります。

写真:BIZOUX

ほかの鉱物がふくまれていると黒く見える

黒く光るブラックダイヤモンドとよばれるものもあります。黒色のグラファイトという炭素の結晶や、別の鉱物がインクルージョンとしてふくまれることで黒く見えます。

また、カットしたり磨いたりしていない、自然にとれたもので特に美しいダイヤモンドを、「アンカットダイヤモンド」とよびます。カット技術が確立するまでは、アンカットの個性豊かな姿が愛されていました。

ブラックダイヤモンド

写真:BIZOUX

まっ黒で、強いテリがあり落ち着いた印象があります。

アンカットダイヤモンド

写真:Shutterstock

自然にとれた形なのに美しいアンカットダイヤモンド。

ダイヤモンドの鑑定書

宝石の品質を世界の基準で保証するものが鑑定書です。ダイヤモンドについてのサイズ、カラットなどが細かくのっています。


話したくなるネタ「多くのダイヤモンドは『キンバーライトパイプ』の近くで見つかる!」

ダイヤモンドを地表近くに運んできたキンバーライトマグマが通ったあとは、キンバーライトマグマが「ろうと」のような形に冷えかたまって「キンバーライトパイプ」とよばれる岩体になっています。この「キンバーライトパイプ」のなかに、ダイヤモンドは眠っています。長い年月をかけて、地表近くの「キンバーライトパイプ」が風化してくずれると、ダイヤモンドが地表に姿を見せます。

【出典】『宝石・ジュエリー図鑑』監修:BIZOUX(ビズー)/科学監修:小田島庸浩

【書誌情報】
『宝石・ジュエリー図鑑』
監修:BIZOUX(ビズー)/科学監修:小田島庸浩


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さらに地球の活動と宝石の関係や、宝石・ジュエリーにかかわるお仕事まで紹介します。

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