昔の人たちは米俵5俵を平気で担いでいた
私が人づてに聞いて知ったのですが、東北地方の米どころで知られる観光名所に明治時代に造られたお米の貯蔵庫が今でも倉庫として残されていて、倉庫の資料館には色々な写真が展示されています。
その写真を見て、私は驚愕(きょうがく)させられたものです。大きなたらい桶に4人の子供を乗せ、それを頭の上に乗せて運んでいる女性が写っていました。
もう1枚の写真はそれ以上に衝撃を受けました。米俵5俵を背中に担いで運ぶ女性たちでした。1俵の重さは60キロですから5俵は300キロにもなります。そんな重量を昔の人たちは持ち運んでいたのです。
どう見ても、力いっぱい力んで持ったり運んだりしているようには見えません。骨格の上にしっかり乗っているという感じです。この女性たちが力自慢のボディビルダーのように筋力があったわけではなく、効率のいい体使いができたからこのようなことができたのでしょう。残念ながらその写真を本書ではお見せできず、写真をもとにイラストを描いて頂きました(下図)。そこはお詫び申し上げます。
「骨格の上に立つ」という意識を持とう
私が直接見た写真を通じて、効率のいい動きは骨の使い方に深い関係があるということを教えられました。それだけではありません。昔のお城や寺院などの建造物を見ても、機械や車、道具などがまともに揃っていない時代にあれだけ立派な建造物が人力で立てられるのだろうかと不思議に思えてきます。
私の推測ですが、その時代の人たちは体を効率よく使って物を造ったり運んだりしていたのでしょう。現代ではとても考えられないことです。
昔の人たちは特別に意識しなくても、力まずに骨にまかせて体を動かす術を心得ていたのだと想像できます。力まかせに体を動かすのではなくて、重力を上手に利用して体を操作する工夫をしていたようです。
そのような骨格をメインと考えた体の使い方をゴルフにも活かせば、もっともっと効率よく体を動かせますし、自分本来のパワーを十分に発揮できるはずです。
私は「立つ」重要性を特に感じます。骨格の上にしっかりと立つ。筋肉に頼らず骨で立つ。それがバランスも取れて力も発揮できる体勢です。ゴルフのポスチャー、つまりアドレスの姿勢に活かせることに気づくでしょう。骨格の上に乗るアドレスをとれば、安定して勢いよくスイングできます。
「体」という漢字は旧字体で「體」と書くそうです。骨が豊かで「カラダ」です。骨の操作感覚が豊かだったともいわれているようです。これからはスイングをするときは、まず骨格の上に立つ意識をしっかり持ってみてください。
【書誌情報】
『ナイスショットは骨で打つ!』
著者:/福田尚也
「骨に任せたゴルフスイング」というテーマで、JPGAティーチングアワード優秀賞を受賞した本書の著者・福田尚也プロ。 同プロのスイング作りは、「骨」(=骨格)をベースにした独自の方法だ。人によって、体型、筋力の違いはあっても、骨格や関節の使い方や動きは誰でも同じ。それを踏まえて、骨格と関節の視点でスイングを理解すれば、万人に共通する正しいスイングが身につく。 この本では、骨と関節、特に肩甲骨と股関節にポイントを置いた、福田プロの“骨スイング”の方法を具体的にひも解き、数多くの写真を交えてわかりやすく解説している。 骨スイングを身につけて、飛距離アップとショットの安定を手に入れよう!
公開日:2020.12.01