筋トレの成果最大化は「有酸素運動」にこそある理由【鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ】

有酸素運動は筋トレに悪影響を与える?
筋肥大率が20%上昇する有酸素運動の取り入れ方
短時間に強い力を発揮して筋肉を鍛える「無酸素運動」の筋トレと、酸素を取り込みながら長時間・低負荷で脂肪を燃焼させる「有酸素運動」。対極ともいえるふたつの運動ですが、筋トレの成果を最大化する方法が、実はこの有酸素運動にありました。
2022年、マクマスター大学の研究から、筋トレに有酸素運動を正しく取り入れることで、筋肥大率が20%も上がることが明らかになりました。この研究では、トレーニング経験がない男女を対象に、片足でエルゴメーターを漕ぐ有酸素運動を行った後、両足でスクワットやレッグプレスなどのトレーニングを行い、10週間後に筋トレと有酸素運動を組み合わせた「コンカレントトレーニングを行った脚」と「筋トレのみを行った脚」で筋肥大率や筋力、筋サテライト細胞の変化について分析を行いました。
その結果、筋肥大率では、コンカレントトレーニングを行った脚で有意な増加が確認されました。速筋線維であるタイプⅡ線維の肥大が、筋トレのみでは+780.4μ㎡(平方マイクロメートル)だったのに対し、有酸素運動を追加することで+2041.8μ㎡の増加が確認され、速筋線維の肥大率に約2.8倍もの差が見られたのです。
さらに、毛細血管密度もコンカレントトレーニングで20%の上昇が確認され、筋サテライト細胞の数においても、有酸素運動を追加することで有意な増加が確認されました。その一方で、筋力に関しては、有酸素運動を追加してもほぼ変わらないという結果でした。
これらの結果は、短時間の有酸素運動によって筋肉の毛細血管密度が増加したことで血流が増え、栄養が行き渡りやすくなって筋線維の肥大、サテライト細胞の増加が見られたと考察され、筋トレの前に有酸素運動を行うことが、筋肥大が起こりやすくなる要因となっていることが明らかになっています。
ここまで聞くと、早速明日からの筋トレには有酸素運動を取り入れなくては! と思いますが、実は、有酸素運動はやり方を間違えてしまうと筋肥大に役立たないどころか、反対に筋力を低下させてしまうため、注意が必要です。
コンカレントトレーニングの落とし穴
2022〜2023年にかけて、コンカレントトレーニングに関するいくつかのネガティブな研究結果が発表されました。コンカレントトレーニングを実践することで、最大発揮筋力が減少するというデータや、筋力の低下に加え、最大酸素消費量の改善に悪影響を及ぼし心肺機能の回復を阻害する可能性など、筋トレ効果の向上どころか健康被害まで起こる可能性が指摘されたのです。さらに2024年には、こうしたコンカレントトレーニングによる悪影響は、男性で筋トレ経験が浅い人ほど強くなる、というデータも出てきました。
筋トレと有酸素運動の組み合わせがなぜここまで悪影響を及ぼすのかというと、ふたつの理由が考えられていて、そのひとつが「干渉効果」です。
干渉効果とは、わかりやすくいえば互いの効果が影響し合ってもう一方に悪影響を与えるというものです。具体的には、強く大きな筋肉を目指す筋トレと、持久力やスタミナの向上を目指す有酸素運動では目的が異なり、生理学的な反応も異なるため、どちらかを高めるともう一方が犠牲になる可能性があるというわけです。
そして、長時間の有酸素運動によってストレスホルモンであるコルチゾールが大量に分泌されることも、筋肉の成長を妨げる大きな要因といえます。正しい量の有酸素運動は筋タンパク質の合成を促進し、身体に適度な負荷を与えますが、長時間の有酸素運動はコルチゾールを大量に分泌させ、逆に筋タンパク質の分解を促進してしまうのです。
正しい有酸素運動は20分以内で「体温を上げる」こと
有酸素運動の効果を多く得るためには、正しい方法で実践しなくてはなりません。有酸素運動の効果をもっとも効率的に生かし、筋肥大率を上げるための有酸素運動の実践方法として、重要なポイントはたったひとつ、体温を上げるという意識です。
冒頭で紹介したマクマスター大学の研究でも、重要なポイントは、毛細血管密度を増やして筋肉への血流量を上げることで筋肥大率が上がる可能性が高まることなので、有酸素運動で筋肥大を引き起こすという意識よりも、筋トレ前に血流量を増やして身体を温めるという意識が正しいといえます。ウォームアップによって体温を上げることで、運動パフォーマンスが上がるのです。

2003年の西オーストラリア大学の研究では、筋肉の温度と収縮速度の関係について調査が行われ、筋肉の温度は高くなればなるほど収縮速度もそれに伴って早くなることがわかっています。具体的には、筋肉の温度が1度上昇することで最大筋力は4.7〜4.9%上昇し、パフォーマンスの指標である垂直飛びの高さは4.2〜4.4%も上がります。筋肉の温度を上げることで約5%筋力が強くなり、約4.5%の運動パフォーマンスが向上するのです。
ただし、漠然と筋トレに有酸素運動を加えても、干渉効果を起こしてしまいます。特に、ランニングのように中強度の有酸素運動を30分以上行うと、持久力を高める筋肉が反応して筋力は落ちやすくなるため、時間としてはだいたい15〜20分ほど、種目としてはランニングもしくはサイクリングがおすすめです。特に、20分以上の有酸素運動はコルチゾールの大量分泌につながるので、20分までにとどめる必要があります。負荷量も、最大心拍数(220マイナス年齢で算出)の55〜65%の間で行います。
この時間と強度のルールを守ることで全身の血流量が向上し、トレーニングの質を上げることができるのです。
結論
✓有酸素運動は、必ずトレーニングの前に15〜20分程度、体温を上げる目的で行うのが効果的
【出典】『鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ』著:理学療法士・パーソナルトレーナー 論文男
【書誌情報】
『鍛え方の最適解がわかる 10万論文筋トレ』
著:理学療法士・パーソナルトレーナー 論文男
■■トレーニーのための「最適解」がわかる! エビデンスが示す、最新結論■■
理学療法士・パーソナルトレーナーである著者が、10万本以上の論文から導き出した「本当に効く筋トレ理論」をわかりやすく解説します。
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筋トレ理論の真偽を検証し、最新研究から導き出された筋トレの設計ルールや正しい栄養戦略を知ることで、無駄な努力や習慣を排除し、最短で筋肉を増やす道筋がわかります。
さらに、部位別の効率的な鍛え方、筋肥大を最大化する負荷・レップ数・インターバル、プロテインやサプリの科学的活用法、リカバリーの正しい知識まで網羅。
経験則や古い理論に惑わされず、論文で裏付けられた最新結論を取り入れて実践することで、成果を確実に最大化できます。
理想の体を手に入れたいトレーニーや、伸び悩みから脱却したい上級者にとって、科学に基づく筋トレの最前線を知る必携の一冊です。
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