天気に港に浅瀬などなど… 船の操縦が難しいワケ【眠れなくなるほど面白い 図解 船の話】

船の操縦には天気・地形が大きく影響する

操船を難しくする無数の条件

車の運転に比べ、船の操縦は非常に難しいといわれます。その最大の理由は、船が環境の影響を強く受ける乗り物だからです。水の上には踏ん張る場がなく、自然外力がそのまま船体の動きに反映されてしまいます。

まず大きな要因となるのが風です。横風を受けると船体が流され、まっすぐ進むだけでも修正が必要になります。たとえば水面上の船体が大きい客船などは風を受ける面積が広く、船首が向いている方向と実際の針路(船が進む方向)がズレやすくなるのです。

また、潮の流れも無視できません。海では目に見えにくい流れが常に生じていて、潮流の強い場所では意図しない方向へ押し流されることがあるのです。

さらに、波も船の動きを左右する要因になります。波を受ける角度によって揺れ方が変わり、斜めから波を受けるとバランスを崩しやすくなるのです。

地形の影響も見逃すことはできず、港の入り口や湾内のようにスペースが限られた場所では、わずかな風や潮の力でも動きが大きく変化します。船が大きいほど止まりにくく、思ったように曲がれないのです。

こうした自然条件と地形を総合的に判断する重要性が、操船の難しさにつながっています。

風と潮が船を動かす

風・潮流の影響

航走中に風を受けると風下に流され、船首方向と実際の針路にズレが生じる 

船は風や潮の流れに押され、船首が向いている方向と船の針路が異なります。環境を読むことが操船の基本です。

狭い場所ほど難易度上昇

地形と操船の関係

<港内>

スペースが狭く、修正が難しい

<浅瀬>

潮や波の影響が大きい、浅い

<狭水道>

流れが強く、針路がぶれやすい

港や水道(陸地が両側に迫った通路状の場所)のような狭い場所では、風や潮の影響が船体の動きに直結します。安全に操船するにはこまやかな判断と経験が欠かせません。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』監修:池田良穂

【監修者情報】
池田良穂(いけだ・よしほ)
1950年北海道生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科博士後期課程船舶工学専攻修了。同大学工学部船舶工学
科助手、助教授を経て、同大学大学院海洋システム工学分野教授に就任。退職後、現在は大阪府立大学名誉教授、大阪公立大学客員教授。
船舶工学研究活動に従事し、著作活動では船舶工学・海洋工学等に関するテーマで70冊あまり執筆。主な著書に『図解 船の科学』(講談社)、『基礎から学ぶ海運と港湾』(海文堂出版)、『船の最新知識』(SBクリエイティブ)、『船舶算法と復原性』(共著、成山堂書店)、『船のしくみ パーフェクト事典』(ナツメ社)などがある。2023年日本船舶海洋工学会「船舶海洋技術賞」受賞。雑誌、新聞等への寄稿も多く、日本における船舶の理解と認知度の向上に貢献したとして、2025年に国土交通大臣から「交通文化賞」を受賞。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』
監修:池田良穂


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