「神道」や「仏教」などが混ざり合う! 民俗学から学ぶ、季節を知らせる日本の「年中行事」【眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話】

【「日本民俗学」の基礎知識】季節を知らせる「年中行事」

農耕儀礼と深く結びついた年中行事

年中行事は、毎年決まった時期に繰り返される一連の行事のことで、その多くは「ハレ」の行事として行われます。

もともと「年中行事」という言葉は、貴族社会の中で毎年定例化した行事を指すものでしたが、民間でも暦が導入される以前から、月の満ち欠け、季節の移ろい、作物の生育などに合わせて、さまざまな行事が行われていたと考えられています。

民間の年中行事の多くは、稲作を中心とした農耕儀礼と深く結びついています。春には豊作を祈願する「祈年祭」や「御田植祭」などが行われ、秋には収穫を祝い感謝する「収穫祭」が行われます。正月の「年神様」や、春に山から里に降り秋に帰る「田の神」など、特定の時期に訪れるカミを迎え、もてなし、送るという構造が基本です。

日本の年中行事は、民間信仰をベースに、「神道」や「仏教」などが混ざり合っているのが特徴です。たとえば、正月は年神様を迎える神事としての性格が強い一方で、盆はもともと「盂蘭盆経」という仏典をもとにした行事です。

現代では、都市化により共同体全体での行事は衰退しつつありますが、クリスマスやバレンタインデー、ハロウィンなど、外来の風習が日本の年中行事として再構築され、定着しているものもあります。

民間の年中行事の特徴

農耕儀礼との結びつき

年中行事の多くは、田植え、収穫など稲作を中心とした農耕の過程と連動して行われる。

「ハレ」と「ケ」の区分

労働などに従事する日常生活を「ケ」と呼び、行事が行われる特別な日を「ハレ」と呼ぶ。

神道や仏教などの融合

「神道」や「仏教」のほか、中国伝来の「陰陽五行説」をもとに形成された「陰陽道」などが融合。

共同体の結びつきの強化

行事を通じて村落や親族といった共同体の結びつきを確認し、再構築する役割を果たした。

季節の変わり目の重視

中国から伝わった陰陽五行説に由来する「五節供」などが日本の慣習と結びつき定着した。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』監修:島村恭則

【監修者紹介】
島村恭則(しまむら・たかのり)
民俗学者。関西学院大学社会学部長・教授。1967(昭和42)年、東京都生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。文学博士(筑波大学)。国立歴史民俗博物館教官、韓国・翰林大学校客員教授、東京大学客員教授などを歴任。日本各地で民俗学調査を行うとともに、韓国・中国での調査・研究も行う。
近年は、世界民俗学史をふまえた民俗学理論の研究、とくに民俗学を国際的・学際的な「ヴァナキュラー文化研究」として再編成する議論を展開している。
著書に『みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?』(平凡社)、『民俗学を生きる ヴァナキュラー研究への道』(晃洋書房)、『これからの時代を生き抜くための民俗学入門』(辰巳出版)、『昔話の民俗学入門 民間伝承の秘密を読み解く』(創元社)、編著に『現代民俗学入門 身近な風習の秘密を解き明かす』(創元社)などがある。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 民俗学の話』
監修:島村恭則


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現代の社会を知る上でも重要な学問ともいわれる「民俗学」。
そもそも「民俗学」とは「民」(=人々)について「俗」(=ヴァナキュラー)の視点で研究する学問であり、日本においては、春夏秋冬の年中行事や風習から、身近な衣食住の伝統や習慣など、都市や地方のあらゆる「文化・もの」について、歴史や謂われ、理由などが存在する。
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