【世界遺産の評価基準】知名度よりも重要な「OUV」とは?人類共通の宝物を決める仕組み【眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産】

なぜ無名でも登録される? 世界遺産の評価軸って?

 世界遺産というと、「ガラパゴス諸島」や「パリのセーヌ河岸」のような世界的名所を連想する人が多いと思います。しかし、実際には「シュトルーヴェの測地弧」のように観光地としての知名度は高くない遺産も含まれます。さらに、イタリアのユーロ硬貨に刻まれている「カステル・デル・モンテ」のように、その地域では象徴的でも、他国では馴染みの薄い遺産も登録されています。1248件ある世界遺産のうち、いわゆる有名観光地はほんの一部であり、むしろ知られていない遺産のほうが多いといえます。

 では、何をもって世界遺産に「ふさわしい」と判断されるのでしょうか。そこで鍵を握るのが、登録の判断基準となる概念「OUV(Outstanding Universal Value)=顕著な普遍的価値」です。OUVとは、国や文化、宗教などの違いを超えて、人類全体にとって現在だけでなく未来にも重要だといえる価値を指します。つまり世界遺産は、「有名だから」選ばれるのではなく、「なぜ守るべきか」を国際社会に示せるかどうかで選ばれるということ。その評価の軸となるのがOUVなのです。

 とはいえ、何に価値を感じるかは人それぞれ異なり、国や宗教、歴史観によって評価の視点も変わります。だからこそ、その価値を誰もが共有できる形で示すことは簡単ではありません。世界遺産では、価値の種類を整理し、共通の物差しで評価できるように登録基準が定められています。どの基準に当てはまり、何が「顕著」なのかを筋道立てて示すことが、世界遺産登録への第一歩なのです。

OUV(Outstanding Universal Value)顕著な普遍的価値

「人類共通の宝物」として、世界が納得する理由

OUVは、国や文化の違いを超えて「人類にとって大切」といえる価値のこと。知名度は重要ではなく、なぜ守るべきかを説明できるものが世界遺産になります。

普遍=みんな同じってこと?

普遍とは価値観をひとつにそろえるということではない。むしろ、多様な文化や自然を尊重した上でその代表例を「人類共通の宝物」として守るということ。そのための基準がOUVなのだ

他にもある! 世界遺産を支えるさまざまな概念

真正性 <本物であるか?>

文化遺産で特に重視される「本物らしさ」のチェック。材料・形・技術・立地、伝統的な使われ方などが、改変され過ぎず信頼できる形で残っているかを確かめます。

完全性 <欠けていないか?>

自然遺産で特に重視される「丸ごと守られているか」のチェック。価値の核となる要素が必要な範囲に含まれ、開発や劣化などの脅威で損なわれていないかを見ます。

保護・管理 <守り続けられるか?>

「価値を守り続けるための仕組みがあるか」のチェック。法的な保護や管理計画、運営体制などが整い、長期的に保全できる状態かどうかを確認します。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』監修:宮澤 光

【監修者紹介】
宮澤 光(みやざわ・ひかる)
NPO法人世界遺産アカデミー主任研究員。北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。跡見学園女子大学非常勤講師。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 世界遺産』
監修:宮澤 光


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