昔のヒッピーとは違う!現代ファッションにおける「自由」と多様性

文化学園大学教授・高村是州先生の特別インタビュー第9回。現代は「多様性」や「自由」の時代と言われますが、ファッションにおける自由とは「何でもあり」ということなのでしょうか?その本質に迫ります。
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――今は「多様性」や「自由」の時代ですが、ファッションも好きなように着て良いのでしょうか?

高村先生:自分のことだけを考えるのであれば、好きな格好を自由に着て良いと思います。ただ、社会との関わりのなかで考えると、ファッションにおける「自由」の概念は、時代とともに変化しています。1980年代までは「既存の価値観に反発して好き勝手に自己主張して着る」ことが自由でした。

1960年代のヒッピー文化ではロックバンドが「全裸でマイクを持って歌う」といったことが、彼らなりの主義主張であり、自由だったわけです。

当時はSNSもなかったので、それが1枚の写真に収まるだけで、不快に思う人によって世界中に拡散されることはありませんでした。しかし、今の時代では「相手に迷惑をかけない範囲の自由」が求めれるようになってきました。

【左:ヒッピー】1960年代後半、米国の若者は反体制や反戦を掲げヒッピー運動を展開。自然回帰を求め、ロングヘアや花柄等の服装で思想を表現した。【右:ウエストコーストヒッピー】1970年初期~70年代中期、アメリカの社会問題を暴き世界に衝撃を与えた映画『イージーライダー』のヒッピースタイル。

昔の「反発する自由」と違う!今の「迷惑をかけない自由

――昔の「好き勝手」と現代の「多様性」はどう違うのですか?

高村先生:今の時代の多様性とは、「自分と異なる考え方の人を尊重し、他者の幸せも認める」ということです。大切なのは、自分の自由と他者への配慮のバランスを考えながら、どう表現するかを選んでいくことなのだと思います。

自分と違うものを「否定する」のはすごく楽なんですが、それらを「受け入れる」のにはものすごい勇気とパワーがいります。多様性というのは、そうした互いの自由を認め合うという、成熟した自由のあり方なのです。

――とはいえ、好きに自己表現したいという気持ちもあります。

高村先生:そこでSNSを活用してみてはいかがでしょうか。現実社会はいろいろな人が共存し、ルールを守って快適に過ごす場所です。一方で、SNSではコミュニティなどを活用することで、価値観を共有できる人たちとつながり、自分らしさを自由に発信することができます。

現実社会とSNS、それぞれの場の特性を理解し、自分らしいファッションや自己表現を上手に使い分けることも、成熟した自由のひとつの形なのではないでしょうか。


(第10回へ続く)

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【著者プロフィール】
高村是州(たかむら・ぜしゅう)

ファッションイラストレーター、ファッションスタイル評論家。文化学園大学 教授(大学院アドバンストファッションデザイン専修、服装学部ファッションクリエイション学科)。
長年に渡ってファッションを研究し教鞭をとってきた中で培われたすべてを本書に詰め込んでいます。 著書に『ザ・ストリートスタイル』『ファッションスタイル・クロニクル』『ファッションデザインテクニック』(以上グラフィック社)、『ファッション・ライフのはじめ方』(岩波書店)など多数。

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