なぜ流行は20年でループする?「Y2K」ブームに隠された進化の法則

最近、20年前のファッション「Y2K」などが若者の間で大流行しています。なぜ流行は繰り返すのか、その不思議な法則に迫ります。文化学園大学教授・高村是州先生による特別インタビューです。
Y2K:「Year 2K(Kは1000の意)」、つまり2000年代のこと。*グランパコア:「グランパ(おじいちゃん)」 と「コア(〜系)」を合わせた造語

――20年前のファッションが若者の間で流行っていますが、なぜ流行は繰り返すのでしょうか?

高村先生:流行はおよそ20年周期で、螺旋状に進化しながら繰り返しています。今の時代、少子化によって若者が「親世代が着ていた服」に共感しやすくなっています。例えばアニメなど、親子で楽しめるコンテンツが増えましたよね。

ファッションも同じで、親が青春時代に着ていた服の写真を見ると、若者にとっては「見たことはあるけれど着たことはない、古くて新しい世界」として非常に新鮮に映るのです。実際にお母さんの昔のワンピースを、学生さんが着ていることもよくあります。

親への反抗」から「共感」へ――若者がお母さんの服を新鮮に感じるワケ

――昔は「若者のファッション」は、大人に理解されないものでしたよね?

高村先生:そうですね。戦前生まれの大人と戦後生まれの子どもが共存していた時代には価値観の大きな断絶がありました。そして古い価値観を否定することによって若い世代は新しい文化をつくってきました。

しかし、現在の親世代は戦後生まれであり、自分の子どもたちと比較的近いカルチャーや青春時代を経験しています。そのため、以前のような大きな世代間断絶が起こりにくく、子ども世代の価値観にも共感しやすいのです。

だからこそ、20年前のファッションやカルチャーは、若い世代だけでなく大人世代にも受け入れられやすく、世代を横断しながら広がっていくのでしょう。

体型や素材の進化と自由な「編集」が作り出す、「同じ服なのに違う」マジック

――では、昔の服と今の流行の服は、全く同じものなのでしょうか?

高村先生:まったく同じというわけではありません。理由のひとつは、人類の体型が変化していること。頭身が高く顔が小さくモデル体型に進化しています。

もうひとつは、科学技術の発展により素材が大きく進化していることです。20年前の冬服と今の冬服では、重さが約1.5kgも違うことがあります。昔は寒さをしのぐためにパンパンに着ぶくれていましたが、今は軽くてあたたかい素材が開発されたことで、同じデザインでもより美しく洗練されたシルエットを生み出せるようになっています。

――昔のスタイルを現代風にアレンジしているのですね。

高村先生:はい。さらに、今の若者は過去のスタイルをそのまま着るだけでなく、新しいアイテムと組み合わせて「編集」して楽しんでいます。

たとえば「グランパコア」のように、昔のおじいちゃんが着ていたようなテーラードジャケットにTシャツを合わせるスタイル。おじいちゃんの時代には、そもそもTシャツを合わせるというカジュアルな概念すらありませんでした。過去のスタイルに当時はなかったアイデアを組み合わせる、これが流行が螺旋状に進化しているということなのです。

Y2K:「Year 2K(Kは1000の意)」、つまり2000年代のこと。*グランパコア:「グランパ(おじいちゃん)」 と「コア(〜系)」を合わせた造語

(第9回へ続く)

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著者:高村是州


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【著者プロフィール】
高村是州(たかむら・ぜしゅう)

ファッションイラストレーター、ファッションスタイル評論家。文化学園大学 教授(大学院アドバンストファッションデザイン専修、服装学部ファッションクリエイション学科)。
長年に渡ってファッションを研究し教鞭をとってきた中で培われたすべてを本書に詰め込んでいます。 著書に『ザ・ストリートスタイル』『ファッションスタイル・クロニクル』『ファッションデザインテクニック』(以上グラフィック社)、『ファッション・ライフのはじめ方』(岩波書店)など多数。

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