神の祟、魔物の呪と人々が恐れた毒とは?今も昔も変わらず集団免疫を付けることが当時も重要だった!?【図解 化学の話】

人口が増えると感染症にさらされる危険性が高まる
自然界にある毒には知恵と知識で凌いできた古代の人たちも、訳のわからない毒には為すすべがありませんでした。その毒とは、いまでいう感染症のことです。人口が増え、それにともない生活活動の場が広がってくると、他部族や他民族との触れ合いが多くなっていきます。そうすると思いもしなかった感染症にさらされる危険が高まりました。それまでの毒は、触れた人のみに現れるものでしたが、感染症は部族全員の問題となりました。免疫を持たない部族には、全滅の危機さえあったでしょう。微生物の存在など知る由もない古代の人たちにとって、新たな毒感染症は、恐怖以外の何ものでもなかったはずです。そんな状態に陥った彼らは、何を考えたか。
おそらく古代人は、何らかの信仰=原始宗教を持っていた。理解不能な毒に見舞われた自分たちは、「信仰心が足りないからだ!」「神が怒ったのだ」と解釈したでしょう。「神の崇」か、もしくは「魔物の呪」としか考えられなかったのです。そう理解すれば、あとは呪術師の登場です。呪術師は、信仰する神にこれまで以上に供物を捧げ、皆に神に祈ることを強要し、火を使い、香料を振り注ぎ、苦しむ感染者に植物毒も用いたでしょう。毒を使うのは、強烈な感染症に対抗するには強力な毒を使うのがよい。いわゆる「毒を以て毒を制す」と考えたのかもしれません。ですが、そんなことで毒が消え、人が救われることなどあるはずもなく、毒を用いたために、かえってその毒で命を落とすこともあったはずです。結局、感染症という毒は、いまでい「集団免疫」が部族の中で広がることで、収束や終息となっていたのでしょう。
歴史が記憶した古代の疫病流行
●紀元前3500~3000年
メソポタミア地方バビロニア(現イラク近辺)で疫病流行。病名不明。
●紀元前1145年~1141年
在位の古代エジプト第20王朝ファラオ、ラムセス5世のミイラの頭部に天然痘の痘疱があったことたが確認されている。
●紀元前430年
ギリシャ・アテネで疫病流行。推定死者数7~10万人という。ギリシャの歴史家トゥキュディデスが大勢の死者が出ていることを記述。病名不明。
●紀元165~180年
古代ローマ帝国で疫病流行。病名不明。
●紀元251~266年
古代ローマ帝国で疫病流行。病名不明。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』野村 義宏・澄田 夢久
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 化学の話』
野村 義宏 監修・著/澄田 夢久 著
宇宙や地球に存在するあらゆる物質について知る学問が「化学」。人はその歴史の始めから、化学と出合うことで多くのことを学び、生活や技術を進歩・進化させてきました。ゆえに、身近な日常生活はもとより最新技術にかかわる不思議なことや疑問はすべて化学で解明できるのです。化学的な発見・発明の歴史から、生活日用品、衣食住、医学の進化までやさしく解明する1冊!
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