不安が不安を呼ぶ状態は、腹側迷走神経があまり育っていない状態。安心の土台をつくる簡単ワーク【今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論】

不安、イライラを抑えるための対症療法

今すぐ不安やイライラを抑えたいというときに効く、おすすめのワークを紹介。

いずれも、困ったときに対症療法として実践するとよいでしょう。

こちらで挙げているシチュエーションにかぎらず、広く使えるワークばかりなので、「緊張したらこれをやってみよう」「リラックスしたいときに試してみよう」というふうに、その時々の状況と得たい効果に応じて行ってみてください。


困ったときにすぐ効く簡単ワーク【日常のシーン】

心配ごとが堂々めぐりしてしまうとき

会社や学校のこと、家族のこと、将来のことなどをとりとめもなく考えて、不安がぐるぐると頭に渦巻いてしまう。「不安ぐせ」を抱えている方にとっては「あるある」ですが、これでは身も心も疲れてしまいます。

不安が不安を呼ぶ状態は、腹側迷走神経があまり育っていない状態ともいえます。ひとりでリラックスする背側迷走神経も大切ですが、2つの副交感神経をバランスよく鍛えることが、安心の土台をつくることにつながります。

おすすめは、腹側迷走神経が関連する表情筋や首などを動かすワークや、誰かと歩調を合わせて歩くなど「つながりモード」を強化するワーク。すぐにできるものからひとつ、実践してみるとよいでしょう。

<Q>
何かを心配しだすと、あれも心配、これも心配…と気になることがあふれてきてしまいます。考えても解決策はなく堂々めぐり。スマホを見て気をまぎらわせようとしても、悪いニュースやネガティブなコメントばかりが目についてしまい、かえって嫌な気分になることも。気疲れしてばかりで、つくづく損な性格だと思います。

<A>
ちょっと表情が硬いようですね。腹側迷走神経がきちんと働いていないと、顔の筋肉の動きもぎこちなくなってしまうんです。

いつでも安心な場所に戻るためには、背側迷走神経と腹側迷走神経の両方を育てていくことが大切です。すぐにできる「唇を震わせる」のワークから始めて、一緒に安心を手に入れましょう!

WORK1:唇を震わせる

馬はときどき口のまわりをブルルと震わせますが、この動きは腹側迷走神経を育てるにもうってつけなのです。

まずは口か鼻から息を吸い、唇を自然に閉じた状態で、息を思いきり吐き出します。このとき、唇がブルブルと震えれば大成功。うまくできなくても、繰り返し練習するうちに上達するのでご心配なく。口のまわりの筋肉を鍛えることで、顔のリフトアップ効果にも期待できます。

WORK2:誰かと歩調を合わせる

外出しているとき、近くを歩いている人のうち誰でもよいので歩調を合わせる相手を決めて、その人と同じくらいのペースで歩いてみましょう。自分のふだんのペースを考えて、無理なく合わせられる相手を選ぶとよいでしょう。直接コミュニケーションを取らなくても、誰かとペースやリズムを合わせることで、腹側迷走神経のつながりモードを働かせることができます。

WORK3:バランスボールなどで身体を揺らす

大ブームとなったバランスボール。バランスがとりにくいボールに座って姿勢を保とうとする動きは、血圧を調整する圧受容器を刺激し、心拍を穏やかにしてくれます。ポリヴェーガル理論で注目する圧受容器は、頭と首の境目あたりの左右にあります。もしもバランスボールがない場合は、ロッキングチェアやブランコなど「揺れるもの」で代用してもよいでしょう。

【出典】『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論』著:浅井 咲子

【書誌情報】
『今度こそ「不安ぐせ」をゆるめる ポリヴェーガル理論』
著:浅井 咲子


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3つの自律神経を味方につけて〈不安ぐせ〉を〈安心ぐせ〉に変える!

「次から次へと心配ごとがでてくる」
「ニュースやSNSで不安になりがち」
「イライラする」「ストレスに弱い」
「気持ちの浮き沈みがはげしい」「やる気が起きない」
などの〈不安ぐせ〉を抱える人へ。

ポリヴェーガル理論は、ステファン・ポージェス博士によって提唱された自律神経系の神経理論です。
自律神経を、1つの交感神経と2つの副交感神経(背側迷走神経と腹側迷走神経)の3つで捉えます。

本書では「セオリー」「テクニック」「ワーク」に分けてわかりやすく紹介します。
本当は必要ではないのに過剰に防衛したり、考えても仕方がないことにイラっとしたり、不安になったり。
そうしたもったいない時間を減らして、「今ここ」にある幸せを感じ、安心できるようになるためのメソッドです。

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