形が違えば性能は大きく変わる! 安定を求める客船はずんぐりした形を選ぶワケ【眠れなくなるほど面白い 図解 船の話】

船の形が変わると性能はどう変わる?

船体が左右する走行性能

 同じ大きさ、同じ重さの船であっても、形が違えば性能は大きく変わります。船の形は、見た目のデザインだけの問題ではありません。水の抵抗をどう受け、どのように浮かぶかを調整するための、きわめて重要な設計要素です。どんな形を選ぶかによって、速さや燃費、さらには安定性にまで影響が出ます。

 船が前へ進むとき、船体は水を押し分けながら航行します。ここで大きな意味を持つのが、船の長さと幅のバランスです。一般に細長い船体は、水から受ける抵抗が小さく、同じ出力でも効率よくスピードを出しやすい特長があります。そのため、高速船や軍艦では細身の形が採用されることが多いのです。ただし、細長い船は復原力が小さく、条件によって転覆のリスクが高まる点には注意が必要でしょう。

 一方、幅が広い船体は復原力が大きく、多少の波では傾きにくいという特長があります。貨物船や客船などで幅広の形が多いのは、安定を重視しているためです。その半面、水の抵抗が増え、速さや燃費の面では不利といえます。

 さらに、船のやせ具合も、抵抗には大きな影響を持ちます。細く引き締まった形は抵抗を抑えやすく、ずんぐりと太ったような形は抵抗が増えます。船の性能は、こうした形の組み合わせによって決まっているのです。

船の形状と速さ・安定性の関係

細長くやせた船

特徴:水の抵抗が小さめでスピードに優れる、一方、復原性が低下して転覆しやすい

幅が広く太った船

特徴:水の抵抗が大きめでスピードが出にくい、一方、安定性が高い

船の長さと幅のバランスによって性能は大きく変わります。細長くやせた船は比較的速く走ることができる一方、幅が広く太った船は安定性に優れています。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』監修:池田良穂

【監修者紹介】
池田良穂 (いけだ よしほ)
1950年北海道生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科博士後期課程船舶工学専攻修了。同大学工学部船舶工学科助手、助教授を経て、同大学大学院海洋システム工学分野教授に就任。退職後、現在は大阪府立大学名誉教授、大阪公立大学客員教授。船舶工学研究活動に従事し、著作活動では船舶工学・海洋工学等に関するテーマで70冊あまり執筆。主な著書に『図解 船の科学』(講談社)、『基礎から学ぶ海運と港湾』(海文堂出版)、『船の最新知識』(SBクリエイティブ)、『船舶算法と復原性』(共著、成山堂書店)、『船のしくみ パーフェクト事典』(ナツメ社)などがある。
2023 年日本船舶海洋工学会「船舶海洋技術賞」受賞。雑誌、新聞等への寄稿も多く、日本における船舶の理解と認知度の向上に貢献したとして、2025年に国土交通大臣から「交通文化賞」を受賞。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 船の話』
監修:池田良穂


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