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ホルモンが影響している?環境によるもの??女性が男性より長生きなのはなぜなのか【人体の不思議】

Text:荻野剛志

環境要因や体のつくりなどが大きく影響している

日本人の平均寿命は女性が87・32歳、男性が81・25歳と、女性が6歳ほど長生きとなっています(2019年厚労省発表による)。これは日本に限らず、世界的にも女性のほうが長生きで、WHO(世界保健機関)が発表している世界平均でも女性74・2歳、男性69・8歳となっています(2016年)。

男女の平均寿命の差についてはいろいろな説があり、「ホルモン説(エストロゲン説)」や「染色体説」、男女が受ける社会的なストレスの差による「環境説」、「胸腺説」、あるいは女性は孫の世話をするために閉経後も長生きするように進化した「おばあさん仮説」まで、さまざまです。エストロゲン説は、女性ホルモンのエストロゲンが悪玉コレステロールを減らし、これによって脳卒中や心臓病につながる動脈硬化を防いで女性の体を守っている、というものです。加齢とともに余命の男女差が縮まるのは、閉経によってエストロゲン分泌が激減するためとされています。

染色体説は、女性のXX染色体(性染色体)は男性のXY染色体よりも免疫機能が高いため、というもので、これは男児の死亡率が女児よりも高いことに関連づけられています。また、免疫において重要な役割を果たす「胸腺」の萎縮が原因とするのが「胸腺説」です。

心臓の上前部にあり、Tリンパ球(T細胞)と呼ばれる白血球をつくる胸腺が、女性では加齢とともにゆっくり萎縮していくのに対し、男性の場合は10代でピークを迎えたあと20代を過ぎると急速に萎縮し、40代でピーク時の50%、70代では10%程度になってしまいます。胸腺内での抗酸化物質の減少が関係しているとも考えられ、男性のほうが免疫機能の低下が早く訪れることが、寿命の差につながっていると考えられています。

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脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?

生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。

動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。

また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。

天才は生まれつきではない、幼少期がポイント

ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。

しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。

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【書誌情報】
『図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志

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