心因性腰痛以外の腰痛の原因
●いざという時役立つ腰痛の知識
心因性腰痛以外にも多くの腰痛の原因が存在します。中でも代表的な4種類をご紹介します。まずは椎間板ヘルニア。背骨の椎骨と椎骨の間でクッションをしている椎間板が変性し、組織の一部が飛び出す病気です。マッサージやコルセットなどによる治療や、レーザーや内視鏡などによる手術治療が存在します。次は、脊柱管狭窄症。変形した椎間板、背骨や椎間関節から突出した骨などが神経を圧迫。腰や足に痛みやしびれを感じます。リハビリテーションによる治療や、内視鏡手術による治療が一般的です。
内臓疾患は、大酒飲みの方が気にする腰痛です。中でも、慢性すい炎は腰痛と密接な関係があります。すい臓から分泌される消化液には、食べ物を分解する消化酵素が含まれていますが、過度な飲酒をし続けると活性化し、自分のすい臓までも消化してしまいます。治療は、飲酒や喫煙をやめることや、すい石の除去などがあげられます。その他、尿管結石などでも腰痛が発生します。
最後は、ガンの脊椎転移です。悪性腫瘍が脊椎に転移したもので、外科手術や投薬治療によって改善することもあります。これらの腰痛は全体の15%以下と、心因性腰痛など原因不明のものと比較すると多くはありませんが、少しでも心配がある場合には、病院で検査をしましょう。
心因性腰痛以外の腰痛
腰痛の8割強は原因不明です。残りの2割弱は比較的、検査や原因が特定可能な腰痛になります。もしものために、そういった腰痛の知識もつけておくと安心感が高まりますよ。
【出典】『原因不明の腰痛は自律神経が9割』
著:小林弘幸/順天堂大学医学部教授 日本文芸社刊
執筆者プロフィール
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。スポーツ庁参与。順天堂大学医学部卒業、同大学院医学研究科を修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、現職。自律神経研究の第一人者として、トップアスリートや文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導に携わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム)、『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』(幻冬舎)など、著書も多数。
病院で検査してもわからない……。原因不明の腰痛を“自律神経”から改善する一冊。国内でおよそ3000万人が悩んでいるとも言われている『腰痛』。
腰痛の原因はぎっくり腰やヘルニアなど様々ですが、実はその80%以上が原因不明と言われています。コロナ禍でカラダを動かすことが少なくなったため、「座りっぱなしだったから」「運動不足だから」と腰痛の原因を運動不足や筋肉疲労によるものだと思い込み、原因を突き止めようと病院を受診しても、結果は『異常なし』。よくわからないまま筋弛緩剤や炎症を抑える薬だけ飲むも、なかなかよくならない、という人が多くいます。また、腰痛は気になるがゆえにインターネットで検索すると、ガンや膵炎などの症状と一致することもあり、長く続くと不安に煽られて毎日楽しく生活することができなくなってしまうことも。そんな長引く謎の腰痛ですが、それはストレスと自律神経の乱れから来る現代病『心因性腰痛』かもしれません。本書では、そんな原因不明の腰痛を持つ人に向けて、自律神経の名医が腰痛の原因になっている自律神経を整えて痛みを取る『心因性腰痛』の改善法を紹介します。リラックスするための入浴法から腸がよみがえる食事法、心を軽くするために必要な考え方、生活習慣など、誰でもすぐに実践できる心因性腰痛の改善法を掲載します。しつこい痛みで、マッサージ・整体・針など、どんなに骨や筋肉への治療を試しても良くならない腰痛をお持ちの方にはぜひ読んで頂きたい一冊です。
公開日:2022.04.19