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エビスは、ヒルコか?コトシロヌシか?海でつながってエビスと同一視された?【図解 神道】

Text:渋谷申博

もともとはどちらとも違う神様だった

エビス様のことは、ご存じでしょうか。エビスは漢字では、恵比寿・恵比須・夷・戎などと書きます。関東以北に住んでいた朝廷に服さない部族の意味で使われることもあります(この意味のエビスはエミシから訛ったものとされる)が、宗教においては大黒天と並ぶ代表的な福神のことをいいます。福神は文字通り福を招く神様のことで、なかでもエビスは、豊漁や商売繁盛を招く神様として広く信仰されています。

しかし、エビスという名前の神様は『古事記』『日本書紀』にも各国の「風土記」にも登場してきません。毘沙門天や福禄寿のような仏教や道教から取り入れられた神様ではなく、日本固有の神様であることは疑いありませんが、その正体については不明な点が少なくありません。『古事記』『日本書紀』には、別の名前で登場していたとする説もあります。

兵庫県の西宮神社(西宮市社家町)ではイザナキ・イザナミの御子神のヒルコだとしていますし、島根県の美保神社(松江市美保関町)はオオクニヌシの御子神のコトシロヌシだといいます。どちらが正しいのでしょうか。エビスは、もともと漁師の間で信仰された神様でした。海の向こうからやって来て豊漁をもたらすと信じられていました。

ヒルコは、足腰が立たないということで海に流されたと記紀神話は語りますので、それが西宮まで流れてきて鎮座したと西宮神社はするのです。一方、コトシロヌシは、国譲りの際に美保で漁をしていたと記紀神話にあるので、美保神社は漁の神であるエビスと同一とするのです。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』監/渋谷申博

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 神道』
著:渋谷 申博

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