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人間だけが言語を操れるのは「二足歩行」だから!?人類の驚きの進化の歴史とは?【人体の不思議】

Text:西野精治

音声は二足歩行がもたらしたヒト特有の機能

言葉を話すためには、肺から送り出された空気が声帯を振動させ、舌や唇を使って空気を口から外に出す必要があります。ヒトは哺乳類の中で唯一、口呼吸ができる動物でしゃべることができるのです。

ヒトがこのように声を持ち、言葉を獲得できたのは、二足歩行をするようなったおかげです。鼻から吸い込んだ空気が通る気道と食べものが通る食道が垂直に伸び、直結したためだといわれています。ほかの動物はこの気道と食道が立体交差になって分かれているため、複雑な言葉を話せるほど、口から空気を出すことはできないのです。

ヒトの声は声帯を振動させた空気振動が咽頭腔から口腔と鼻腔に入り共鳴・増幅されて出るのですが、ヒトによる声の違いは声道の器官の長さや形、舌の形などで決まります。

しかし、よく自分の声を録音して聞くと、いつもの自分の声と違って、違和感を覚えることがあると思いますが、録音した声がほかの人に聞こえているあなたの本当の声なのです。

声の聞こえ方には2通りあります。ひとつは「気導音」といって口から出た音が空気を伝わり、両耳に伝わって聞こえる音です。もうひとつは、声帯の振動が頭蓋骨に響いて伝わる「骨導音」です。自分自身がいつも聞いている声はこの気導音と骨導音の両方が合わさって聞こえているのです。

一方、ほかの人が聞く声や録音した声は気導音のみが聞こえます。つまり、この違いが違和感の原因となっているのです。

ヒトは言葉を獲得したことで仲間とのコミュニケーションをとり、あらゆる情報を伝える手段を持ちました。そして、それが現在のような高度な知識や文化社会を築く基礎となったのです。

出典:『図解 人体の不思議』監修/荻野剛志

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以上の方には「図解 人体の不思議」は大変おすすめな本です。

テレビやインターネットには健康に関するさまざまな情報があふれており、スマートフォンで専門的な知識ですら手軽に検索することが可能です。しかし、これらの健康に関する情報にはさまざまな内容が含まれており、その真偽を含めた有用性(どれが大事な情報か)を判断することが難しい状況があるように思われます。

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本書では、人間の“からだ”についての理解を深めるための基本的な疑問を取り扱い、図解を入れながら、わかりやすく説明しています。読めば皆様の“からだ”のことをもっと知ろうとする意欲を刺激し、さらに知識を得るための第一歩となってくれるはずです。

脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?

生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。

動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。

また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。

天才は生まれつきではない、幼少期がポイント

ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。

しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。

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【書誌情報】
『図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志

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