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確率はわずか0.02%!心臓がめったに「がん」にならないのはどうして?【人体の不思議】

Text:西野精治

心臓細胞は生まれたときからほぼ分裂しない!

さまざまな部位や組織にできることで知られているがん(悪性腫瘍)ですが、よく「心臓にはがんができない」といわれます。実際には心臓にも腫瘍はできますが、原発性腫瘍の発生頻度は約0・02パーセントとわずかで、さらに悪性腫瘍はその中の4分の1とされるほど稀まれです。

ちなみに、悪性腫瘍のうち、体表を覆う上皮細胞にできるものを「がん」、それ以外の骨や筋肉にできるものを「肉腫」といい、心臓(心筋)にできる悪性腫瘍は厳密には悪性でも「がん」ではなく「肉腫」といいます。

心臓に腫瘍ができにくい理由には、いくつかの説があります。ひとつは、心臓の特異性によるものです。

心臓は「心筋」と呼ばれる特別な筋肉(横紋筋)でできていますが、この筋肉は生まれてから死ぬまでほとんど細胞分裂をおこないません。

そのため、細胞分裂の際に発生する異常細胞であるがん細胞が増殖する機会がない、という説です。

また、心臓は体の中でもっとも温度が高く、心臓が生み出す熱量は体全体の11パーセントにもなるといわれます。がん細胞は低温を好み、35℃前後でもっとも活発になるといわれ、39℃になると増殖が止まり、42℃を超えるとほとんどが死滅してしまいます。40℃以上もある心臓では、万一がん細胞ができても生き残れない、という説です。

あるいは、収縮を繰り返す心臓には腫瘍細胞がとりつく島がないから、などともいわれています。

さらに最近の研究では、心臓が分泌するホルモンのうち、心房から分泌される「ナトリウム利尿ペプチド(ANP)」が肺がん術後の転移を抑制していることがわかり、心臓自身のがんの発生も抑制しているのではないかと考えられています。

出典:『図解 人体の不思議』監修/荻野剛志

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脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?

生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。

動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。

また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。

天才は生まれつきではない、幼少期がポイント

ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。

しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。

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【書誌情報】
『図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志

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