まずは子どもの「サイン」に気づこう
日々の暮らしの中で子どもたちが時折見せる「ちょっとした違和感」や「独特な言動」に気づいたことはありませんか? たとえば感情の起伏が乏しい(激しい)、あまり目を合わせようとしない、特定のオモチャや衣服に強いこだわりがあるなど。日頃からよく注意していないと見落としてしまいがちなこうした様子や行動のなかにも、発達障害のサインが隠れていることは意外と多いのです。特に初めてのお子さんの場合、比較対象となる子どもが身近にいないと、入園・入学のタイミングまで気がつかないことも多いと言われています。次回は発達障害を持つ子どもたちに多く見られる様子や言動と、そうした状況に遭遇したときの関わり方な
どを紹介しています。
発達障害の有無に関わらず、ほとんどの子どもたちは自分の状態や気持ちを言葉で表現することが上手ではありません。なかには不安や困りごとを隠そうとする子もいます。大人から見てちょっと気になる違和感や言動は、じつは子どもなりのサインということもあるのです。そのサインを見逃さずに理解を示して寄り添うことが不安や生きづらさを和らげる最初の一歩へとつながります。
なお、本書では便宜上、発達障害に多く見られる様子や行動を3つの診断名(自閉スペクトラム症/注意欠如・多動症/限局性学習症)で分類していますが、これらは言動から診断名を断定、あるいは類推するものではありません。
【出典】『心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話』
監修:湯汲英史(ゆくみえいし) 日本文芸社刊
監修者プロフィール
公認心理師・精神保健福祉士・言語聴覚士。早稲田大学第一文学部心理学専攻卒。現在、公益社団法人発達協会常務理事、早稲田大学非常勤講師、練馬区保育園巡回指導員などを務める。 著書に『0歳~6歳 子どもの発達とレジリエンス保育の本―子どもの「立ち直る力」を育てる』(学研プラス)、『子どもが伸びる関わりことば26―発達が気になる子へのことばかけ』(鈴木出版)、『ことばの力を伸ばす考え方・教え方 ―話す前から一・二語文まで― 』(明石書店)など多数。
<この一冊で発達障害の最新事情と正しい知識がわかる!>ここ13年で10倍に増えたとされる「発達障害」。昨今はADHDやアスペルガーといったワードが一般の人たちにも普及したことにより、病院への受診率が増え、自分や子ども、家族に対して発達障害かも、と感じる人たちが増えている印象です。特に近年、「グレーゾーン」や「気になる子」といった発達障害かもしれない人や子どものことをさす用語も一般的に浸透するほど、関心の高いテーマになっています。そんな発達障害について知りたい人に向け、発達障害の正しい知識や最新の情報から、周りのサポート法、対処法を図解とイラストでわかりやすく解説します。本人が気にしている、周りの人も気になるような発達障害の人の言動について、本人はどう考えてそのような行動をとったり、発言したりしているのかなど、物事を考える背景や手順を解説した上で、本人ができる対処法やそれに対する周りのサポート法、心構えを実例も交えて具体的に紹介します。発達障害かもしれないと思っている当事者、知人友人恋人など周囲の人が発達障害かもしれないと思っている人、自分の子どもが発達障害かもしれないと思っている親など、発達障害の知識を広げたい、理解したいと考えている方にぜひ手に取っていただきたい一冊です。
公開日:2024.06.22