動機から見た連続殺人③ 性欲を満たすために残忍に殺す「快楽型」【図解 犯罪心理学】
性欲と結びついた殺人形態
3つ目は快楽型です。属に「快楽殺人」と言われるのがこのタイプであり、自身の性欲が殺人と結びつき、自らの性欲を満たすために犯罪を犯すものです。
幻覚型や使命型とは違い、犯人は殺人そのものを楽しむため、レイプや拷問をともなった残忍な方法を取られることが多くあります。
犯人のほとんどは男性で自らの性的な対象を殺害します。つまり、被害者が女性であれば異性愛者、男性なら同性愛者と考えられます。同様の理由から、被害者の容姿や年齢、髪型などが共通する場合もあります。
殺人と性欲が結びつく理由についてはよくわかっていませんが、サディズムなどのフェチシズムが極端になったものとも考えられます。また、この種の殺人者には、子どもの頃虐待を受けていた経験があることや、幼児期から問題行動を多発させていること、暴力的なポルノを愛好していたこと、他者に対する共感性に障害があることなどの特徴があり、大人になる過程でのさまざまな要因が重なって、このような犯罪者が生み出されたとも考えられています。
代表的な例として、アメリカで33人もの少年を殺害したジョン・ウェイン・ゲイシーや、日本で幼女ばかり4人を殺害した宮崎勤などが挙げられます。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
監修者プロフィール
法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』(化学同人)、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)ほか多数。
昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。
公開日:2024.07.17