動機から見た連続殺人④ 支配と優越を楽しむ「パワーコントロール型」【図解 犯罪心理学】
相手を恐怖で支配する
4つ目はパワーコントロール型です。このタイプの犯人は、他人のすべてを支配し、優越感を得ようとします。支配やコントロールすることの究極が相手の生命を奪うということになります。
殺害のタイプは秩序型で、事前に計画をたてて犯行に及びます。また、殺害の前には被害者をつけ狙い、拘束して監禁し、レイプ、暴行、拷問などを行います。つまり、殺害という結果よりもそのプロセスを重視するのです。
このパワーコントロールの元になっているのは性欲だと考えられ、力と支配という感覚と性欲が結びついているとも言えます。そのため、快楽型のバリエーションだとも考えられるのです。
米国で起きたテッド・バンディ事件が、このタイプの典型ですが、日本で起きた自殺サイト連続殺人事件もここに分類されます。この事件の犯人は、自殺サイトの掲示板を利用して、自殺志願者を集め、首を絞めて殺害しました。犯人は、窒息しもがき苦しむ人を見て興奮を覚えるタイプでした。彼は何度も窒息させては蘇生させることを繰り返し、その様子を録画までしていたのです。窒息は、性的な快楽と結びつきが強いとされ、この事件以外にも、事故による死亡例も少なくありません。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太
監修者プロフィール
法政大学文学部心理学科教授。1965年、神奈川県横浜市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻修了。警視庁科学捜査研究所研究員、東京家政大学文学部助教授、法政大学文学部准教授を経て2008年より現職。臨床心理士。専門は犯罪捜査への心理学の応用。著書に『犯罪捜査の心理学』(化学同人)、『ケースで学ぶ犯罪心理学』(北大路書房)ほか多数。
昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。
公開日:2024.07.18