保護じゃなくて誘拐です!? カラスのヒナを見つけたときの正しい対処法とは【眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話】


ヒナを拾って保護…それ、誘拐ですから!

カラスに限らず、鳥のヒナが落ちていることがあります。かわいそうなので拾って保護してあげ
…たらダメです!
巣立ちの際、ヒナはまだ十分飛べないのが普通です。なので、低いところや地面にいることもあります。その状態でも親鳥はエサを持ってきて世話をします。ここで人間が連れて帰ってしまったら、親鳥は他のヒナの世話にかかりきりになり、移動して行ってしまいます。
仮に他のヒナがいなければ、しばらくはエサを持ってウロウロしますが、長くても数日で子育てモードから「次の繁殖」モードに切り替わります。そうなったら、仮に親元にヒナを戻したとしても、もうヒナの世話はしません。
人間にできるのは、せいぜい、ちょっと高いところにヒナを乗せておいてやるくらいのことです。それ以上の世話は極めて難しいですし、冷たいようですが、野生動物の生き死ににむやみに手を出すべきでもありません。
また、ヒナが心配なので見守っていたい気持ちもわかりますが、人間が近くにいたら親鳥は警戒して近づけません。親を信じて離れるべきです。
毎年、春から初夏にかけて「鳥のヒナを保護したのですが」といった問い合わせがよくあると聞きます。たとえ悪意はなくても、保護ではなく単なる誘拐になってしまいますので、落ちているヒナを連れ帰るのは絶対にやめてください。ヒナの世話は、親鳥に任せるのが一番です。
地面にいるヒナは飛ぶ練習中
巣立ち直後のヒナはほとんど飛べないので、地面まで落ちてしまうこともあります。ですが、親はちゃんとエサをくれますし、自力で高いところになんとか飛び上がってまた練習します。数日でまあまあ飛べるようになりますし、1週間もすれば飛び回っています。

もし道端に落ちているヒナを見つけたら…
人間に許されるのは高いところに乗せるくらい。なぜなら、
理由1 後から返しに行っても親鳥は移動していてヒナを見つけられないかもしれない。
理由2 人間がヒナを育てるのはとても大変。
理由3 親はちゃんと世話をしてくれるので、人が近くにいるとかえって邪魔になる。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』著:松原 始
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 カラスの話』
著:松原 始
「カラスはなぜ怖いのか?」がわかる本!
黒い羽を虹色に輝かせ、時に人を威嚇し、悠然と街を歩く。
不吉なシンボルとされる一方、賢さで知られる彼らの生態や魅力を面白く伝える1冊です。
「カラスはほんとは怖くない!?」
「読めばよむほど、好きになる!?」
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