マイナス60度で耐えるペンギンの極限子育て方法とは!?【眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話】
 
 
海から離れた森の中で子育てをするペンギンがいる
天敵のいる海辺を避けて産卵する
ペンギンは空を飛びません。とはいえ、羽ばたくように翼を動かし、水中を颯爽と泳ぎ進むさまは、まさに鳥以外の何ものでもありません。現存するペンギンのうち最大種は南極大陸にすむコウテイペンギンです。全長は100~130cmほどあり、最小種のコガタペンギンの約3~4倍の大きさがあります。
コウテイペンギンは過酷な子育てをすることでも知られています。夏の間は海で暮らしていますが、冬の繁殖期には天敵の少ない内陸部に移動。海岸から50~100km離れた場所で産卵を行い、メスは卵をオスにあずけるとエサをとりに海へと戻っていきます。そしてオスはメスが戻るまで、マイナス60°Cの極寒に耐えながら、じっと飲まず食わずで卵を温めるのです。その期間はなんと2カ月。
また、海岸から離れた森の中で子育てをするペンギンもいます。ニュージーランドの南約200kmにあるスネアーズ諸島に住む固有種スネアーズペンギン(別名ハシブトペンギン)です。繁殖期になると森の中へと移動し、低木の下などに巣をつくって卵を産みます。これには天敵を避ける意味もありますが、森の中は卵を孵すのに最適な温度・湿度が保たれているためです。これも、子孫を確実に残すための知恵なのです。
過酷なコウテイペンギンの子育て
卵を産んだメスはエサを探しに海へ戻るため、その間オスは卵を抱いて温めます。マイナス60°Cの極寒の中、飲まず食わずでメスの帰りを待つのです。

● 卵を温めている間は絶食が続くため、化する頃には体重の40%が失われることも
● オスは大事な卵を足の上に乗せ、抱卵斑と呼ばれる羽毛のない温かい肌につけて温める
森で子育て?スネアーズペンギン
スネアーズペンギンにはカモメなどの天敵がいて、海岸近くで産卵すると卵が狙われます。そのため、安全で環境もいい森の中に移動して産卵します。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』監修:小宮輝之
【書誌情報】
 『眠れなくなるほど面白い 図解 鳥の話』
 監修:小宮輝之
飼うこと、食べること、動物園・水族館・花鳥園などでの鑑賞、身近にいる野鳥など、寿命が長い上、インコやオウムなどは話したり、歌ったりとコミュニケーションもとれることから、日本には愛鳥家も多く鳥関連のイベントも定期的に開催されており、動物類のなかでもコアファンが多い生き物です。
鳥類は恐竜時代から大量絶滅を唯一生き延びた動物のため、歴史も古く、進化の過程で飛ぶ・飛ばないをはじめ、大きさや形、色、生息地域も異なり、外見も内面も個性豊か。
 社交性も高い上、カラスやオウムなどは知能も高く、行動学の観点でも面白い特徴が多く見られます。
「約1万種類いる鳥類の半分はスズメの仲間」
 「鳥の祖先は、結局恐竜なの?」
 「鳥に歯はない。くちばしは骨?角質?」
 「カラスは家族のためなら、友情は簡単に裏切る」
 「スグロミツドリは“右半身がオスで左半身がメス”」
 「カメは万年、ツルは千年 ツルの本当の寿命は30年」
 「おしどり夫婦の由来であるオシドリは普通に浮気する」
 「ダチョウは家族が入れ替わっても気付かない」
 「ハゲワシがハゲているのは、ちゃんとした理由がある」などなど
 そんな鳥たちの意外な生態や知られざる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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